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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(10月号)~輸出は電気電子製品が鈍化して一桁成長まで低下
2018年10月10日
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18年8月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て通関ベース)は前年同月比7.8%増となり、前月(同13.0%増)から低下した(図表1)。輸出は海外経済の持続的拡大や一次産品の価格上昇が全体を押し上げて堅調に推移しているが、スマートフォン需要の減速などから昨年に比べて増勢が鈍化してきている。米国発の貿易摩擦の影響はまだ表面化していないが、輸出の減速傾向が今後強まる恐れがある。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、8月は東アジア向け(同5.9%増)と北米向け(同5.3%増)が鈍化、EU向け(同1.9%減)が昨年4月ぶりのマイナスとなった(図表2)。一方、東南アジア向け(同21.2%増)は好調に推移して、明暗の分かれる結果となった。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、8月は東アジア向け(同5.9%増)と北米向け(同5.3%増)が鈍化、EU向け(同1.9%減)が昨年4月ぶりのマイナスとなった(図表2)。一方、東南アジア向け(同21.2%増)は好調に推移して、明暗の分かれる結果となった。
タイの18年8月の輸出額は前年同月比6.7%増(前月:同8.3%増)と低下した。輸出の基調は、海外経済の回復を背景に自動車・部品や石油製品などの主要工業製品を中心に堅調に拡大しているが、電子機器と家電製品などは昨年ほどの勢いがなく、輸出の増勢は緩やかに鈍化している。一方、輸入額は前年同月比22.8%増(前月:同10.5%増)と大きく上昇した結果、貿易収支は5.9億ドルの赤字となり、前月から0.7億ドル悪化した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同5.8%増(前月:同7.7%増)と低下した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同18.7%増)や自動車・部品(同16.4%増)、機械・装置(同13.6%増)など総じて好調だったが、主力の電子機器(同5.3%増)が鈍化したほか、家電製品(同1.2%減)も低調だった。また鉱業・燃料は同39.4%増(前月:同45.5%増)と、石油製品を中心に13ヵ月連続の二桁増となった。農産品・加工品は同4.1%増(前月:同3.2%増)と上昇した。コメ(同9.1%増)とゴム製品(同5.3%増)が堅調に拡大する一方、天然ゴム(同19.4%減)が低迷した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同5.8%増(前月:同7.7%増)と低下した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同18.7%増)や自動車・部品(同16.4%増)、機械・装置(同13.6%増)など総じて好調だったが、主力の電子機器(同5.3%増)が鈍化したほか、家電製品(同1.2%減)も低調だった。また鉱業・燃料は同39.4%増(前月:同45.5%増)と、石油製品を中心に13ヵ月連続の二桁増となった。農産品・加工品は同4.1%増(前月:同3.2%増)と上昇した。コメ(同9.1%増)とゴム製品(同5.3%増)が堅調に拡大する一方、天然ゴム(同19.4%減)が低迷した。
ベトナムの18年8月の輸出額は前年同月比18.5%増と、前月の同14.8%増から上昇した。輸出の伸び率は、年前半に冬季五輪およびサッカーワールドカップの開催、新型スマートフォン発売のタイミングが去年より早まった影響により、テレビやスマートフォンなどの電気電子製品を中心に上下に振れる展開となったが、足元では再び増勢が加速してきている。一方、輸入額は前年同月比16.4%増(前月:同20.0%増)と鈍化した結果、貿易収支は前月の22.0億ドルの黒字となり、前月から28.3億ドル増加した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同25.1%増(前月:同25.9%減)となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった影響により二ヵ月連続で大幅に増加した。またコンピュータ・電子部品は同19.1%増(前月:同19.6%増)と引き続き好調だった。アパレル関連では、織物・衣類が同18.8%増(前月:同17.1%増)、履物が同10.6%増(前月:同10.1%増)と、それぞれ二桁増となった。農産品では、カシューナッツ(同21.2%減)が低迷する一方、前月に落ち込んだコメ(同5.6%増)と野菜(同13.0%増)がプラスに転化し、コーヒー(同25.4%増)も大きく上昇した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同20.0%増(前月:同16.8%増)、地場企業が同15.0%増(前月:同10.4%増)と、それぞれ上昇した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同25.1%増(前月:同25.9%減)となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった影響により二ヵ月連続で大幅に増加した。またコンピュータ・電子部品は同19.1%増(前月:同19.6%増)と引き続き好調だった。アパレル関連では、織物・衣類が同18.8%増(前月:同17.1%増)、履物が同10.6%増(前月:同10.1%増)と、それぞれ二桁増となった。農産品では、カシューナッツ(同21.2%減)が低迷する一方、前月に落ち込んだコメ(同5.6%増)と野菜(同13.0%増)がプラスに転化し、コーヒー(同25.4%増)も大きく上昇した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同20.0%増(前月:同16.8%増)、地場企業が同15.0%増(前月:同10.4%増)と、それぞれ上昇した。
マレーシアの18年8月の輸出額は前年同月比4.4%増と、前月の同15.9%増から低下した。輸出の伸び率は前月まで好調に推移していたが、8月は主力輸出品の電気・電子製品の鈍化が響いて14ヵ月ぶりの一桁成長となった。一方、輸入額は前年同月比16.4%増と、前月の同16.8%増から小幅に低下した結果、貿易収支は3.9億ドルの黒字と、前月から16.6億ドル減少した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同6.5%増(前月:同27.8%増)となり、主力の電気・電子製品(同2.3%増)を中心に大きく鈍化した(図表8)。一方、鉱物性燃料は同6.7%増と、急速に鈍化した前月の同1.7%増から持ち直した。天然ガス(同32.4%減)が低迷する一方、原油(同78.7%増)が好調を維持、石油製品(同10.3%増)もプラスに転じた。このほか、前月に続いて化学製品(同13.9%増)が高い伸び、動植物性油脂(同22.3%減)が大幅マイナスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同6.5%増(前月:同27.8%増)となり、主力の電気・電子製品(同2.3%増)を中心に大きく鈍化した(図表8)。一方、鉱物性燃料は同6.7%増と、急速に鈍化した前月の同1.7%増から持ち直した。天然ガス(同32.4%減)が低迷する一方、原油(同78.7%増)が好調を維持、石油製品(同10.3%増)もプラスに転じた。このほか、前月に続いて化学製品(同13.9%増)が高い伸び、動植物性油脂(同22.3%減)が大幅マイナスとなった。
インドネシアの18年8月の輸出額は前年同月比4.1%増(前月:同19.7%増)と大きく低下した。輸出は主力のパーム油とゴム製品が落ち込むなかでも石油ガス需要の増加を背景に堅調な伸びを続けてきたが、8月は石炭輸出が伸び悩んで4カ月ぶりの一桁成長まで鈍化した。また輸入額も前年同月比8.9%増(前月:同15.3%増)と低下した結果、貿易収支は10.2億ドルの赤字と、前月から9.9億ドル赤字が縮小した(図表9)。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同3.4%増(前月:同19.4%増)と大きく低下した一方、石油ガスは同12.2%増(前月:同22.9%増)と好調を維持した。非石油ガスの内訳を見ると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同2.1%増(前月:同15.2%増)と低下した。主力の製造品のうち、自動車(同10.3%増)と電気機械(同5.8%増)は拡大する一方、ゴム製品(同13.2%減)や動植物性油脂(同11.3%減)、機械類(同5.3%減)は減少傾向が続いた。また農産品は同20.8%減(前月:同6.6%減)と更に落ち込んだ一方、鉱業品は同18.0%増(前月:同44.7%増)と、鉱石、スラグ及び灰(同31.4%増)を中心に引き続き二桁増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同3.4%増(前月:同19.4%増)と大きく低下した一方、石油ガスは同12.2%増(前月:同22.9%増)と好調を維持した。非石油ガスの内訳を見ると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同2.1%増(前月:同15.2%増)と低下した。主力の製造品のうち、自動車(同10.3%増)と電気機械(同5.8%増)は拡大する一方、ゴム製品(同13.2%減)や動植物性油脂(同11.3%減)、機械類(同5.3%減)は減少傾向が続いた。また農産品は同20.8%減(前月:同6.6%減)と更に落ち込んだ一方、鉱業品は同18.0%増(前月:同44.7%増)と、鉱石、スラグ及び灰(同31.4%増)を中心に引き続き二桁増となった。
(2018年10月10日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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