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- 金相場の低迷はいつまで?~投資家の金離れが鮮明に
2018年10月09日
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■要旨
- 金相場の低迷が続いている。4月上旬に1オンス1360ドルを付けたNY金先物価格は、8月半ばに1200ドルの節目を割り込むまで下落し、直近も1200ドルを割り込んでいる。投資家の金離れは鮮明となっており、最近は「有事の金」も不発に終わっている。
- このように、金価格の低迷が続いている最大の理由は「ドル高の進行」だ。今回は特に新興国通貨に対してドル高が進んだことも新興国での金需要低迷に繋がり、価格の下落を増幅した。米金利の上昇も金利を生まない金の重荷になっている。つまり、ドル高や米金利上昇によって金の魅力が損なわれたことが、金価格の低迷という形で現れている。
- それでは、金価格の低迷はいつまで続くのだろうか?カギはユーロの動向にあると考えられる。ドルインデックスと金価格の逆相関関係は極めて強いが、ドルインデックスの内訳で最大のウェイトを占めるのがユーロだ。ユーロの先行きを考えると、当面はイタリアの財政懸念を抱えるほか、ECBも当分政策金利を据え置く方針を示しているため、上値の重い展開が予想される。ただし、ECBは来年秋にもマイナス金利の縮小を開始すると見込まれることから、来年春以降、これを織り込む形でユーロ高圧力が高まるだろう。また、米国の利上げは来年中にも打ち止めになる可能性が高い。米利上げの打ち止めが意識されるにつれてドル高の勢いが失われることも、ユーロ高進行をサポートするとみられる。このような形でのユーロ高の進行がドルインデックス下落を通じて金価格の追い風になるだろう。従って、あと数ヵ月は金価格の低迷が続きそうだが、来春以降、金価格は1300ドルに向けて上昇基調に入ると予想している。
- なお、仮に貿易摩擦がさらに激化し、米経済に対する悪影響への懸念が高まる場合には、来春を待たずして金価格が上昇するだろう。現在は米経済に対する楽観が支配的となっているだけに、楽観が後退する場合はドル安が進行し、金価格押し上げに働くためだ。
■目次
1.トピック:金相場の低迷はいつまで?
・有事の金買いも不発
・金を買う理由が乏しい
・価格低迷はいつまで?
2.日銀金融政策(9月):金融機関収益への配慮はトーンダウン
・(日銀)現状維持
3.金融市場(9月)の振り返りと当面の予想
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック:金相場の低迷はいつまで?
・有事の金買いも不発
・金を買う理由が乏しい
・価格低迷はいつまで?
2.日銀金融政策(9月):金融機関収益への配慮はトーンダウン
・(日銀)現状維持
3.金融市場(9月)の振り返りと当面の予想
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
(2018年10月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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