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2018年05月29日
欧州 保険ストレステスト2018(1)-EIOPAが第4回目の EU全体の保険のストレステストの実施内容を公表-
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4―その他の事項
1|対象範囲
2018年ストレステストでは、その目的と要件に合致する欧州の大規模な保険グループを対象にしている。参加グループの選択は、主に以下の事項に基づいて行われた。
a.規模
b.EUの幅広い市場カバレッジ(金融安定性の観点から)
c.事業ライン(生命保険及び損害保険事業)
対象となる市場の範囲と管轄区域の数は、第2段階で考慮され、規模に関して一定程度の均質性を確保するための総資産基準を維持している。
対象会社は、まずは上記基準に基づいて上位30のグループが選ばれ、これらのいずれのグループの監督者でもなかった地域の代表サンプルを含めるために12のグループが選ばれた。
これにより、ソルベンシーIIの金融安定性報告に基づく連結グループ資産合計に基づいて、欧州市場の約78%がカバーされる。
2018年ストレステストでは、その目的と要件に合致する欧州の大規模な保険グループを対象にしている。参加グループの選択は、主に以下の事項に基づいて行われた。
a.規模
b.EUの幅広い市場カバレッジ(金融安定性の観点から)
c.事業ライン(生命保険及び損害保険事業)
対象となる市場の範囲と管轄区域の数は、第2段階で考慮され、規模に関して一定程度の均質性を確保するための総資産基準を維持している。
対象会社は、まずは上記基準に基づいて上位30のグループが選ばれ、これらのいずれのグループの監督者でもなかった地域の代表サンプルを含めるために12のグループが選ばれた。
これにより、ソルベンシーIIの金融安定性報告に基づく連結グループ資産合計に基づいて、欧州市場の約78%がカバーされる。
2|評価基準日
2018年の保険ストレステストの基準日は、2017年12月31日である。基本ケースは、基準日におけるグループのストレス前の財務状況であり、NCAに提出された2017年のソルベンシーIIグループ報告と完全に一致しなければならない。
2018年の保険ストレステストの基準日は、2017年12月31日である。基本ケースは、基準日におけるグループのストレス前の財務状況であり、NCAに提出された2017年のソルベンシーIIグループ報告と完全に一致しなければならない。
3|方法論
(1) 全体的
2018年の保険ストレステストは、グループの貸借対照表、自己資本及びソルベンシー資本要件(SCR)に関する3つの異なるシナリオの影響に関する保険グループの計算を含むボトムアップのテストである。
即時かつ永続的なショックがテストされる。また、2次的影響や将来の経営行動等を含まない、静的バランスシートアプローチを使用する。
グループは、シナリオが貸借対照表とソルベンシーポジションに及ぼす主な要因を、ストレステスト報告書テンプレートを補完する解説書に説明するように要求される。
参加グループは、標準報告に使用された方法論に従い、自己資本及びSCRへの限界的影響を特定することにより、控除集計法(D&A)によって集計される単体に所定のストレスを適用する。
公平な競争条件を達成し、ストレス後の結果がストレスの瞬間的な性質を反映することを確実にするために、参加グループは、基準日後の将来の行動を取ることに依存する措置、行動又はリスク緩和戦略を考慮すべきではない。これには、例えば、ダイナミックヘッジ、リスク回避戦略及び再建計画の関連で行われる将来の行動が含まれる。
(2) 内部モデル等
ストレス後の数値は、ソルベンシーII評価目的のために参加グループによって適用されたモデルと整合的に作成されるものとする。(部分)内部モデルの使用と具体的な企業固有のパラメータ(USPs)の使用は、基準日にグループ監督者によって承認されている必要がある。
グループSCRの再計算によって想定される運用上及び方法論上の課題がある場合、参加グループは近似と簡略化を使用することが許される。しかし、テストの目的を考慮して、実現可能性と信頼性との間のトレードオフが必要であり、適用される簡略化のレベルは、このトレードオフに比例して、影響の方向及び大きさの公正な反映、即ち解釈の可否及び結果の比較可能性を不適切に歪ませないようにする必要がある。
(3) 長期保証(LTG)及び移行措置
長期保証(LTG)及び移行措置は、ソルベンシーIIと整合したストレステストの枠組みの一部であることから、グループは、基準日に使用されたLTG及び移行措置を適用するように要求される。措置の適用にNCA又はグループの監督者による事前の承認が必要な場合、基準日に承認が与えられている場合にのみ使用できる。
ストレス後の技術的準備金、基本自己資本、適格自己資本及びSCRに対するLTG及び移行措置の影響を計算しなければならない。
技術的準備金に関する移行措置の絶対的な影響は、ストレス前のシナリオにおいて、NCAsの承認を得て計算され、ストレス後のシナリオにおいて一定に保たれる。
株式に関する移行措置は、ベースラインシナリオに沿って一貫して適用されるものとする。
マッチング調整は、ストレスシナリオの下で再評価され、基本ケースと整合的に適用されなければならない。
再計算されたボラティリティ調整は、EIOPAによって市場ベースのシナリオの下で提供される。
標準式の下でSCRを計算する参加グループは、ストレスシナリオの下で対称的な株式調整の規定された水準を適用しなければならない。
(1) 全体的
2018年の保険ストレステストは、グループの貸借対照表、自己資本及びソルベンシー資本要件(SCR)に関する3つの異なるシナリオの影響に関する保険グループの計算を含むボトムアップのテストである。
即時かつ永続的なショックがテストされる。また、2次的影響や将来の経営行動等を含まない、静的バランスシートアプローチを使用する。
グループは、シナリオが貸借対照表とソルベンシーポジションに及ぼす主な要因を、ストレステスト報告書テンプレートを補完する解説書に説明するように要求される。
参加グループは、標準報告に使用された方法論に従い、自己資本及びSCRへの限界的影響を特定することにより、控除集計法(D&A)によって集計される単体に所定のストレスを適用する。
公平な競争条件を達成し、ストレス後の結果がストレスの瞬間的な性質を反映することを確実にするために、参加グループは、基準日後の将来の行動を取ることに依存する措置、行動又はリスク緩和戦略を考慮すべきではない。これには、例えば、ダイナミックヘッジ、リスク回避戦略及び再建計画の関連で行われる将来の行動が含まれる。
(2) 内部モデル等
ストレス後の数値は、ソルベンシーII評価目的のために参加グループによって適用されたモデルと整合的に作成されるものとする。(部分)内部モデルの使用と具体的な企業固有のパラメータ(USPs)の使用は、基準日にグループ監督者によって承認されている必要がある。
グループSCRの再計算によって想定される運用上及び方法論上の課題がある場合、参加グループは近似と簡略化を使用することが許される。しかし、テストの目的を考慮して、実現可能性と信頼性との間のトレードオフが必要であり、適用される簡略化のレベルは、このトレードオフに比例して、影響の方向及び大きさの公正な反映、即ち解釈の可否及び結果の比較可能性を不適切に歪ませないようにする必要がある。
(3) 長期保証(LTG)及び移行措置
長期保証(LTG)及び移行措置は、ソルベンシーIIと整合したストレステストの枠組みの一部であることから、グループは、基準日に使用されたLTG及び移行措置を適用するように要求される。措置の適用にNCA又はグループの監督者による事前の承認が必要な場合、基準日に承認が与えられている場合にのみ使用できる。
ストレス後の技術的準備金、基本自己資本、適格自己資本及びSCRに対するLTG及び移行措置の影響を計算しなければならない。
技術的準備金に関する移行措置の絶対的な影響は、ストレス前のシナリオにおいて、NCAsの承認を得て計算され、ストレス後のシナリオにおいて一定に保たれる。
株式に関する移行措置は、ベースラインシナリオに沿って一貫して適用されるものとする。
マッチング調整は、ストレスシナリオの下で再評価され、基本ケースと整合的に適用されなければならない。
再計算されたボラティリティ調整は、EIOPAによって市場ベースのシナリオの下で提供される。
標準式の下でSCRを計算する参加グループは、ストレスシナリオの下で対称的な株式調整の規定された水準を適用しなければならない。
4|報告内容
ベースラインシナリオ及びストレスシナリオの下で結果を報告するためのテンプレートのセットは、大きくはソルベンシーⅡの定量的報告テンプレート(QRT)に基づいている。
報告テンプレートは、次の4つの主要なセクションにグループ化される。
a.ベースラインシナリオ(Base)
b.イールドカーブ上昇シナリオ(YCup)
c.イールドカーブ下降シナリオ(YCdown)
d. Nat-Catシナリオ(Nat-Cat)
また、参加グループはサイバーリスクに関するアンケートに記入する必要がある。
ストレステスト、結果及び適切なデータ品質保証プロセスの許容を正しく理解するために、参加グループは、計算を実行するために利用されるアプローチに沿って、追加の情報を提出するよう要求される。
報告スプレッドシートは、以下の図表のように構成されている。
ベースラインシナリオ及びストレスシナリオの下で結果を報告するためのテンプレートのセットは、大きくはソルベンシーⅡの定量的報告テンプレート(QRT)に基づいている。
報告テンプレートは、次の4つの主要なセクションにグループ化される。
a.ベースラインシナリオ(Base)
b.イールドカーブ上昇シナリオ(YCup)
c.イールドカーブ下降シナリオ(YCdown)
d. Nat-Catシナリオ(Nat-Cat)
また、参加グループはサイバーリスクに関するアンケートに記入する必要がある。
ストレステスト、結果及び適切なデータ品質保証プロセスの許容を正しく理解するために、参加グループは、計算を実行するために利用されるアプローチに沿って、追加の情報を提出するよう要求される。
報告スプレッドシートは、以下の図表のように構成されている。
5|結果の開示
2018年ストレステストでは、参加者の同意が得られた後に個別の結果を開示することを前提としている。この個別開示は、負債超過資産を含むグループの貸借対照表へのシナリオの影響のみをカバーする。ストレス後の資本ポジションについては、集計ベースで開示される。
長期保証(LTG)措置及び移行措置の開示は、通常のソルベンシーIIの報告義務に沿ったものでなければならず、これらの措置が負債超過資産に及ぼす影響を示す。
ストレステストに参加しているグループは、ストレスシナリオを適用した後、多数の定義済指標とともに、標準的な定量的報告テンプレート(QRT)の要約版を公開するように求められる。個々のグループレベルで一般公開のために考慮される情報は、データ収集のテンプレートで明確に識別される。このストレステスト結果の個々の開示により、いくつかの肯定的な副作用が生じることが期待されている。
なお、結果を開示することに同意しない参加グループの結果は、個別に特定できない程度に集計した数字に組み入れられる。
2018年ストレステストでは、参加者の同意が得られた後に個別の結果を開示することを前提としている。この個別開示は、負債超過資産を含むグループの貸借対照表へのシナリオの影響のみをカバーする。ストレス後の資本ポジションについては、集計ベースで開示される。
長期保証(LTG)措置及び移行措置の開示は、通常のソルベンシーIIの報告義務に沿ったものでなければならず、これらの措置が負債超過資産に及ぼす影響を示す。
ストレステストに参加しているグループは、ストレスシナリオを適用した後、多数の定義済指標とともに、標準的な定量的報告テンプレート(QRT)の要約版を公開するように求められる。個々のグループレベルで一般公開のために考慮される情報は、データ収集のテンプレートで明確に識別される。このストレステスト結果の個々の開示により、いくつかの肯定的な副作用が生じることが期待されている。
なお、結果を開示することに同意しない参加グループの結果は、個別に特定できない程度に集計した数字に組み入れられる。
5―今後のスケジュール
今後のスケジュールは、以下の通りとなっている。
参加グループにとっては、算出とデータ準備に(2016年のストレステスト時の約8週間と比較して)13週間以上が与えられる形になっている。
・2018年5月中旬~8月中旬 選択されたグループによる算出段階
(8月16日までにNCAsに記入したテンプレートを提出)
・2018年5月中旬~6月第3週 Q&Aプロセス
(参加グループがNCAsを通じて、EIOPA Q&A workstreamに質問を提出する期限は6月14日)
・2018年8月16日 NCAsへの提出期限
・2018年9月中旬 EIOPAへの提出期限
・2018年8月中旬~10月末 結果の品質検証(これは2段階に分かれている)。
第1段階 各国での品質検証(8月中旬~9月中旬)
報告の整合性の徹底的な分析
第2段階 中央での品質検証(9月中旬~10月末)
クロスセクショナルな整合性チェック
・2018年10月最終週~11月第1週 公表に対する同意の収集
・2018年11月~12月 報告書のドラフト作成
・2019年1月後半 報告書の公表
参加グループにとっては、算出とデータ準備に(2016年のストレステスト時の約8週間と比較して)13週間以上が与えられる形になっている。
・2018年5月中旬~8月中旬 選択されたグループによる算出段階
(8月16日までにNCAsに記入したテンプレートを提出)
・2018年5月中旬~6月第3週 Q&Aプロセス
(参加グループがNCAsを通じて、EIOPA Q&A workstreamに質問を提出する期限は6月14日)
・2018年8月16日 NCAsへの提出期限
・2018年9月中旬 EIOPAへの提出期限
・2018年8月中旬~10月末 結果の品質検証(これは2段階に分かれている)。
第1段階 各国での品質検証(8月中旬~9月中旬)
報告の整合性の徹底的な分析
第2段階 中央での品質検証(9月中旬~10月末)
クロスセクショナルな整合性チェック
・2018年10月最終週~11月第1週 公表に対する同意の収集
・2018年11月~12月 報告書のドラフト作成
・2019年1月後半 報告書の公表
6―まとめ
「1―はじめに」で述べたように、今回はあくまでもストレステストの実施内容の公表であり、これに基づく結果の公表は2019年1月に予定されている。
2014年及び2016年のストレステストにおいては、低金利環境の継続が保険会社の財務状況に及ぼす影響が大きな関心の的となっていた。今回の2018年のストレステストにおいても、引き続き長期にわたる低金利シナリオも考慮されているが、一方で、金利の急減な反転に伴う解約増加リスクや死亡率の低下に伴う長寿リスク、さらにはサイバーリスクへの対応という観点からのシナリオ設定にも重点が置かれる形になっている。
これはある意味で、低金利環境が一定程度落ち着きを見せており、反転傾向もみられることや、多くの国の保険会社において、低金利シナリオに対しても一定の財務状況が確保されることが、これまでのストレステストや各社の対応等を通じて確認されたという事実に基づいているものと思われる。その意味では、少なくとも今回のストレステストは、これまでとは異なる新たな方向へと向かうものとなっていると考えられる。
なお、今回のストレステストの結果については、参加グループ各社が拒否するのでなければ、その個別の結果が公衆に開示されることになっている。これにより、透明性の確保がより一層図られていくことが期待されている。
次回のレポートで、今回のストレステストにおけるストレスシナリオについて、より詳細な内容を報告する。
2014年及び2016年のストレステストにおいては、低金利環境の継続が保険会社の財務状況に及ぼす影響が大きな関心の的となっていた。今回の2018年のストレステストにおいても、引き続き長期にわたる低金利シナリオも考慮されているが、一方で、金利の急減な反転に伴う解約増加リスクや死亡率の低下に伴う長寿リスク、さらにはサイバーリスクへの対応という観点からのシナリオ設定にも重点が置かれる形になっている。
これはある意味で、低金利環境が一定程度落ち着きを見せており、反転傾向もみられることや、多くの国の保険会社において、低金利シナリオに対しても一定の財務状況が確保されることが、これまでのストレステストや各社の対応等を通じて確認されたという事実に基づいているものと思われる。その意味では、少なくとも今回のストレステストは、これまでとは異なる新たな方向へと向かうものとなっていると考えられる。
なお、今回のストレステストの結果については、参加グループ各社が拒否するのでなければ、その個別の結果が公衆に開示されることになっている。これにより、透明性の確保がより一層図られていくことが期待されている。
次回のレポートで、今回のストレステストにおけるストレスシナリオについて、より詳細な内容を報告する。
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(2018年05月29日「保険・年金フォーカス」)
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