- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- トランプ政権の対日通商圧力が円高圧力に~マーケット・カルテ5月号
2018年04月23日
    文字サイズ
- 小
- 中
- 大
 4月月初に米中貿易摩擦への警戒が高まり、ドル円は一時105円台に下落、シリア情勢の緊迫化も円の下支えとなったが、その後、(1)米中貿易摩擦への警戒が後退したこと、(2)欧米のシリア空爆が短期で終結したこと、(3)北朝鮮情勢の緩和期待が高まったことなどからリスク回避的な円買いが巻き戻され、足元は107円台後半まで上昇している。
                                                        4月月初に米中貿易摩擦への警戒が高まり、ドル円は一時105円台に下落、シリア情勢の緊迫化も円の下支えとなったが、その後、(1)米中貿易摩擦への警戒が後退したこと、(2)欧米のシリア空爆が短期で終結したこと、(3)北朝鮮情勢の緩和期待が高まったことなどからリスク回避的な円買いが巻き戻され、足元は107円台後半まで上昇している。ただし、今後もしばらくドルの上値は重いだろう。米中の貿易戦争は回避されるものの、今後は対日通商圧力が強まる可能性が高いためだ。今月中旬の日米首脳会談で新たな通商協議の開始が決定されたが、米国側の交渉トップであるライトハイザー通商代表は対日強硬派として知られる。同氏が前面に出てくることで、リスク回避の動きや通貨安誘導批判への警戒から円高圧力が強まることが想定される。また、米政権内では対外強硬派が増えているだけに、中東情勢等地政学リスクの高まりに伴う円高圧力も見込まれる。一方、今後も強さが続く米経済のファンダメンタルズがドルの下値を支えるため、3ヵ月後のドル円は現状比横ばい圏内と予想している。
ユーロ円も最近はリスク回避の後退で上昇し、足元は132円台前半で推移している。今後もリスク回避等に伴う円高圧力には注意が必要だが、ECBは6月にも緩和の縮小を決める可能性が高い。ECBの金融政策正常化が意識されやすい時間帯に入り、ユーロ高圧力がじわりと高まるだろう。ユーロ円の3ヵ月後の水準は134円前後と予想している。
長期金利は、リスク回避の後退や米金利上昇を受けて上昇し、足元は0.06%付近で推移している。今後も米金利は上昇に向かうと見込まれるが、リスク回避に伴う債券需要が金利上昇を阻むだろう。また、日銀も正常化観測の台頭を防ぐために金利抑制スタンスを当面崩さないとみられる。3ヵ月後の金利水準は現状比で横ばい程度とみている。
(執筆時点:2018/4/23)
 
                                                            (お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年04月23日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
 
                                        03-3512-1870
経歴
                            - ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社 
 ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
 ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
 ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
 ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/10/22 | 高市新政権が発足、円相場の行方を考える~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー | 
| 2025/10/14 | 貸出・マネタリー統計(25年9月)~銀行貸出の伸びが4年半ぶりの4%台に、定期預金等はバブル期以来の高い伸びを記録 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2025/10/06 | 円安が続く背景を改めて点検する~円相場の行方は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター | 
| 2025/10/01 | 日銀短観(9月調査)~トランプ関税の影響は依然限定的、利上げ路線をサポートするも、決め手にはならず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター | 
新着記事
- 
                2025年11月04日 
 今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】
- 
                2025年10月31日 
 交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋
- 
                2025年10月31日 
 ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定
- 
                2025年10月31日 
 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~
- 
                2025年10月31日 
 保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
- 
                        2025年07月01日 News Release 
- 
                        2025年06月06日 News Release 
- 
                        2025年04月02日 News Release 
【トランプ政権の対日通商圧力が円高圧力に~マーケット・カルテ5月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
トランプ政権の対日通商圧力が円高圧力に~マーケット・カルテ5月号のレポート Topへ 
            




 
                     
                    
 経済 のレポート
経済 のレポート 
                                     
                                     
                                     
                                    
 
                                             
                         
                         
                        
 
            
 
                     
					


