- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 貿易戦争勃発が円高リスクに~マーケット・カルテ4月号
2018年03月22日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

今後も当面は円高に警戒が必要な時間帯が続きそうだ。トランプ政権は鉄鋼・アルミの輸入制限決定に続き、近々中国の知的財産権侵害への制裁に動く見通しであり、中国の出方次第では貿易戦争の様相を呈することになる。この場合、市場ではリスク回避的な円買いが拡大し、105円の壁を割り込む恐れがある。一方、今後3ヵ月を見通せば、ドル円は持ち直す可能性が高いと見ている。トランプ政権の狙いは貿易戦争ではなく貿易赤字是正であり、交渉・譲歩の余地がある。次第に過度な警戒が落ち着くことで、日米のファンダメンタルズに沿った円安ドル高が再開するだろう。高金利を求めて国内投資家のドル買いが動き出すこともドル高要因になる。3ヵ月後の水準は108円程度と予想している。
ユーロ円もリスク回避的な円高圧力が続き、足元は130円台後半で推移している。ドル円同様、当面は円高圧力が続くものの、ECBは6月にも緩和の縮小を決める可能性が高い。市場が落ち着いていくにつれてECBの緩和縮小が意識され、ユーロ高圧力が高まるだろう。ユーロ円の3ヵ月後の水準は133円程度と予想している。
長期金利は、リスク回避的な国債需要の高まりを受けて低下、足元は0.03%台で推移している。日銀は早期緩和縮小観測を再び台頭させないためにも金利抑制スタンスを当面崩さないとみられ、金利の顕著な上昇は見込まれない。ただし、リスク回避姿勢の後退により、3ヵ月後の金利水準は現状比でやや上昇と予想している。
(執筆時点:2018/3/22)
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年03月22日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/10 | 貸出・マネタリー統計(25年5月)~都銀と地銀で貸出の勢いに開き、新規貸出金利が大きく上昇 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/06 | 止まらない「現金離れ」~「現金」の未来を考える | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/05/30 | 補助金見直しでガソリン価格は下落、今後もまだ下がる?~原油価格と円相場による試算 | 上野 剛志 | 基礎研レター |
2025/05/21 | 方向感を欠く円相場、関税の着地点と影響がカギに~マーケット・カルテ6月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年06月13日
インド消費者物価(25年5月)~5月のCPI上昇率は+2.8%、食品価格の低下が続いて6年ぶりの低水準に -
2025年06月13日
年齢制限をすり抜ける小学生たち -
2025年06月13日
欧州保険会社が2024年のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)を公表(2)-SCRの算出(内部モデルの使用状況と分散効果の状況等)- -
2025年06月13日
DeepSeekに見るAIの未来 -近年のAI進化の背景とは -
2025年06月13日
株主提案による役員選任議案-フジメディア・ホールディングス
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【貿易戦争勃発が円高リスクに~マーケット・カルテ4月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易戦争勃発が円高リスクに~マーケット・カルテ4月号のレポート Topへ