- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 中国経済見通し~景気は党大会後も大丈夫なのか?
中国経済見通し~景気は党大会後も大丈夫なのか?
三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
4.経済見通し
中国経済の最大のリスクは“住宅バブル”にあると考えている。住宅バブルが崩壊すれば、金融システムが不安定化する恐れがあるからである。そもそも中国では、過剰設備・過剰債務問題を解消すべくゾンビ企業の淘汰を進めており、不良債権は増加傾向にある3。それに加えて、16年に急増した個人の住宅ローンまで返済が滞るようだと、銀行が抱える不良債権は急増する恐れがある。
中国政府(含む中国人民銀行)は前述の「四限」で住宅バブルを退治しようとしてきた。しかし、これまでのところ住宅バブル膨張に収まる兆しは見られず、今後は基準金利の引き上げに踏み切る可能性がある。「四限」と基準金利の引き上げで、住宅バブルのソフトランディングに成功するのがメインシナリオだが、行き過ぎた金融引き締めでオーバーキルとなる可能性も否定しきれない。
具体的には、住宅価格が微調整ライン(A)を上回っているうちはメインシナリオの範囲内(黄信号)、それを下回ればシナリオ修正が必要な「赤信号」と考えている。仮に「赤信号」が点灯したとしても、中国政府が適時適切なタイミングで政策運営を切り替えることができれば金融システム不安に陥るのを回避できる可能性はある。しかし、タイミングが遅れて、デッドライン(B)を下回るようだと、住宅バブル崩壊の恐れもある。ここ数年で建設された住宅在庫のほとんどがデッドストック(含み損を抱えた資産)となるからだ(図表-21)。中国政府にとっては極めて難しい舵取りとなるだけに、今後の政策運営を注視したい。3 不良債権の現状に関しては「図表でみる中国経済(不良債権編)」基礎研レター2016-07-15を参照
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年08月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/01 | 図表でみる世界の出生率-出生率が高い国・地域と低い国・地域、それぞれにどんな特徴があるのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2025/05/23 | 図表でみる世界の外為レート-世界各地の通貨をランキングすると、日本円はプラザ合意を上回るほどの割安で、人民元はさらに安い | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
| 2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年11月05日
完璧な成果より「誠実な経過」を-ブランド透明性が生みだす信頼とサステナビリティ開示のあり方(2) -
2025年11月05日
新たな局面に入るロシア制裁・ウクライナ支援 -
2025年11月05日
子どもにもっと「芸術の秋」を~より多くの子どもに機会を提供するには、企業による貢献も欠かせない。ニッセイ名作シリーズは今年で62年~ -
2025年11月04日
数字の「26」に関わる各種の話題-26という数字で思い浮かべる例は少ないと思われるが- -
2025年11月04日
ユーロ圏消費者物価(25年10月)-2%目標に沿った推移が継続
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【中国経済見通し~景気は党大会後も大丈夫なのか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済見通し~景気は党大会後も大丈夫なのか?のレポート Topへ















