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中国経済見通し~景気は党大会後も大丈夫なのか?

三尾 幸吉郎
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1.中国経済の概況
産業別に見ると、第1次産業の実質成長率は前年比3.5%増と16年通期の同3.3%増を0.2ポイント上回った。しかし、数年前まで4%前後だった成長率はここ2年半3%台へ低下しており、トレンドとしては緩やかな減速傾向にある。第2次産業の実質成長率は同6.4%増と16年通期の同6.1%増を0.3ポイント上回った。2010年の同12.7%増をピークに6年連続で前年の伸びを下回るなど経済成長のスピードが鈍化した主因だったが、17年上期には若干持ち直した。また、第3次産業の実質成長率は同7.7%増と16年通期の同7.8%増を0.1ポイント下回った。第3次産業もやや減速気味ではあるものの、第2次産業の実質成長率を4年半に渡って上回るなど、中国経済を支える新たな牽引役に育ちつつある(図表-2)。
一方、需要別に見ると、純輸出は0.3ポイントのプラス寄与と16年通期の▲0.5ポイントからプラスに転じた。リーマンショック後には3年連続の大幅マイナス寄与となったが、その後は小幅なプラス寄与とマイナス寄与を繰り返している。総資本形成(投資)は2.3ポイントのプラス寄与と16年通期の2.8ポイントを下回った。リーマンショック後の景気対策で2009年に8.1ポイントのプラス寄与となったのをピークに低下傾向にある。最終消費は4.4ポイントのプラス寄与と16年通期の4.3ポイントをやや上回った。最終消費は安定的なプラス寄与を続けている(図表-3)。
2.需要面の動き
なお、中国では、大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策、ごみ処理能力増強など環境関連や、中国共産党・政府が2014年3月に発表した「新型都市化計画(2014~2020年)1」に伴う交通物流関連の需要が大きいため、新興産業関連投資が鈍化した場合には、16.4兆元(約270兆円)とされる官民連携(PPP)事業の着工を急いで、景気テコ入れを図るだろう。従って、17年秋の党大会後の投資は、やや減速する可能性が高いものの、失速することはないと見ている。
1 新型都市化が生み出す投資需要は巨大で2020年までの累計で42兆元に達すると試算されている(中国財政部)。スケジュールとしては2017年までが試行地域における先行実施期間となり、その成果を踏まえて2018-20年には全国展開される予定。なおこれに関連して、2016年5月11日には投資総額4.7兆元に及ぶ交通インフラ整備3ヵ年計画(2016-18年)が発表された。
(2017年08月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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