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- 金融市場の動き(11月号)~追加緩和のインパクトと過熱感の力比べに
2014年11月07日
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- (為替・株) 今回の追加緩和は衝撃的なものであった。これまでの市場の反応は、昨年の異次元緩和後に匹敵するレベルになっている。緩和の規模や質では異次元緩和のインパクトに及ばないが、時期のサプライズ感は異次元緩和以上であったうえ、タイミングも絶妙であったことで円安・株高圧力が増幅された。今後も中期的なトレンドとして円安ドル高、株価上昇が続く蓋然性が大きく高まったと言えるだろう。追加緩和で日米の金融政策の方向性の違いがさらに鮮明化したほか、マネーフローの面でも日銀とGPIFの株買い増しが株価上昇とリスクオンの円売りを誘発、GPIFの外国証券買い増しが追加の円売りフローを生むためだ。一方、難しいのが当面の見通しだ。最近の円売りには強い勢いを感じるが、過熱感も相当溜まっているとみられるためだ。25日移動平均との乖離率を見ると、株・ドル円ともに近年で最大レベルに達しており、利益確定に伴う調整が入る可能性がかなり高まっていると見られる。当面、材料として注目されるのは、やはり米経済指標になる。現在、堅調な米景気が来年の利上げ観測と米株価上昇を促し、ドル高地合いを支えている。この先も現在の勢いを維持できるかが焦点になる。また、ドル高が最近さらに進行しているため、ドル高けん制の動きには注意が必要だ。
- (日銀金融政策) 日銀は10月末の金融政策決定会合で追加緩和を決定した。同日発表の展望リポートでは14年度の成長率を大きく下方修正したほか、コアCPI上昇率(消費税の影響除き)についても14・15年度をやや下方修正した。
- (金融市場の動き) 10月は円安ドル高、ユーロドルは低下、長期金利も低下した。ドル円の目先の方向性はやはり本日の米雇用統計で決まるが、ドル高に振れたとしても、過熱感が一層強まるため、近いうちに一旦は円高方向への調整が必要と見ている。

(2014年11月07日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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