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■要旨
公的年金などの運用やリスク管理のあり方を議論する政府の有識者会議が、この7月から6回ほど開催されてきました。9月26日にはこれまでの議論内容に関する中間報告が公表されています。それによると、これまで開かれた会合で議論された内容は、運用の目的、運用目標・方針、運用対象、ガバナンス、リスク管理、エクイティ資産に係るリターンの最大化、と幅広いものになっています。
今、このような年金の運用をめぐる議論が行われる背景は何なのでしょうか。簡単にまとめると二つの主張が大きく影響していると言うことができます。一つ目は国民から預かった貴重な資産である公的年金の積立金を、現在の方式より効率的に運用する術があるのではないかという主張です。この点については平成20年にも経済財政諮問会議で意見が交わされ、その考え方は今回の中間報告に踏襲されています。二つ目はデフレ経済から脱出する成長戦略の支援策として公的年金を活用すべきではないかという主張です。デフレ脱却を目指すアベノミクスが注目される中で、この点は今回の議論における特色です。
こうした二つの主張についてどのように考えたらよいのでしょうか。その答を探すための手がかりの一つとして海外の年金制度があります。海外の年金基金の代表的な例をいくつか紹介したいと思います。
今回は、福祉国家として知られるノルウェーの年金基金を紹介します。ノルウェーは、北海油田からの石油・天然ガスに恵まれ、その収益の一部がノルウェー政府年金基金として積み立てられています。これは将来、石油・天然ガスが枯渇した時に備えるという長期の目的を持つ資金ですので、その運用にも独得のスタイルが貫かれています。
(2013年10月31日「保険・年金フォーカス」)
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前田 俊之 (まえだ としゆき)
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