2013年10月30日

海外年金基金レポート 第3回 = オランダ公務員年金(ABP) =

取締役 前田 俊之

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■要旨

公的年金などの運用やリスク管理のあり方を議論する政府の有識者会議が、この7月から6回ほど開催されてきました。9月26日にはこれまでの議論内容に関する中間報告が公表されています。それによると、これまで開かれた会合で議論された内容は、運用の目的、運用目標・方針、運用対象、ガバナンス、リスク管理、エクイティ資産に係るリターンの最大化、と幅広いものになっています。

今、このような年金の運用をめぐる議論が行われる背景は何なのでしょうか。簡単にまとめると二つの主張が大きく影響していると言うことができます。一つ目は国民から預かった貴重な資産である公的年金の積立金を、現在の方式より効率的に運用する術があるのではないかという主張です。この点については平成20年にも経済財政諮問会議で意見が交わされ、その考え方は今回の中間報告に踏襲されています。二つ目はデフレ経済から脱出する成長戦略の支援策として公的年金を活用すべきではないかという主張です。デフレ脱却を目指すアベノミクスが注目される中で、この点は今回の議論における特色です。

こうした二つの主張についてどのように考えたらよいのでしょうか。その答を探すための手がかりの一つとして海外の年金制度があります。海外の年金基金の代表的な例をいくつか紹介したいと思います。

第3回目となる今回はオランダのABPです。ABPとはStichting Pensionfonds ABPの通称で、オランダの公務員を対象とした年金制度です。1922年に政府の組織として設立、その後1996年に民営化されて今日に至ります。受給者も含めた加入者約280万人、総資産約40兆円(2013年9月末、2,930億ユーロ)の、世界でも有数の年金基金です。

(2013年10月30日「保険・年金フォーカス」)

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取締役

前田 俊之 (まえだ としゆき)

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