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- 認知症精神科医療のこれから-地域で寄り添う認知症ケアに向けて
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■見出し
1――広がりつつある対応力の格差
2――増加が懸念される認知症の人の「社会的入院」
3――地域支援体制の鍵は、医療と介護の一体的なケア
■introduction
認知症の人への支援が喫緊の課題と言われるようになってから、既に長い時間が経過した。地域における認知症支援体制の構築状況を見ると、この十年の成果が形として現れてきたところもあれば、遅々として進まないところもあるなど、その進捗状況は様々である。とはいえ、第5期介護保険事業計画には全ての自治体が認知症支援体制に関する具体的な支援策を盛り込むこととなり、今後、サポート体制の充実が全国的に加速して行きそうな気配も感じられる。
振り返ると、「閉じ込める」「抑制する」「薬を用いて無気力な状態にする」といった方法でしか対応することが出来なかった30年程前に比べて、認知症ケアの常識は大きく変わってきた。実践現場には個別的対応や生活環境の重要性が浸透し、認知症ケアに関わる教育研修の充実や地域住民への啓発活動、街づくりや見守り活動等、多岐に渡る取組みが展開されている。こうした取組みにより、認知症の人の生活の質は確実に変化しているのではないだろうか。
それと同時に気づくことは、依然として解決されない課題、新たに生じてきている課題が様々にあるという現実である。図表1は、平成23年度の老人保健健康増進等事業によりニッセイ基礎研究所が実施した「認知症サービス提供の現場からみたケアモデル研究会」において、認知症ケアにおける現状の課題を整理したものである。多くの意見から見出せたことは、認知症ケアが進化を遂げてきた一方で、その流れに乗ることの出来ない実践現場との間には、考え方も対応力も大きな開きが出来てしまったという現実である。今、考えていかなければならない課題は、介護業者間や個別専門職間の対応力格差、医療と介護の連携力格差、地域支援力の格差など、様々な場面での「格差」の解消であると考えられる。
(2012年05月31日「基礎研レター」)
山梨 恵子
山梨 恵子のレポート
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