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- 鉱工業生産11年10月~タイの洪水による影響は限定的
■見出し
・10月の生産は予想を上回る高い伸び
・当面は一進一退の動きが続く見込み
■introduction
経済産業省が11月30日に公表した鉱工業指数によると、10月の鉱工業生産指数は前月比2.4%と2ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.0%、当社予想は同0.1%)を大きく上回った。出荷指数は前月比0.6%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比0.8%と2ヵ月ぶりの上昇となった。
10月の生産を業種別に見ると、輸送機械は前月比11.6%の大幅上昇となった。タイの洪水の影響により国内でも一定の生産調整が行われたが、同業種の予測調査における10月の実現率は2.0%と先月時点の計画よりもむしろ上振れており、その影響は限定的だったことが窺える。輸送機械の生産指数は100.2となり、震災前の水準(2月の99.3)を上回った。
一方、地上デジタル放送移行前の駆け込み需要の反動減から液晶テレビなどの情報通信機械が8月の前月比▲10.6%、9月の同▲7.8%に続き10月も同▲6.0%の大幅減産となったほか、世界的なIT関連分野の生産調整の影響から電子部品・デバイスが前月比▲5.5%と大きく落ち込んだ。
速報段階で公表される16業種中、12業種が前月比で上昇、4業種が低下となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷(除く輸送機械)は7-9月期の前期比▲0.1%の後、10月は前月比3.8%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷は7-9月期の前期比▲2.4%の後、10月は前月比1.0%となった。GDP統計の設備投資は、震災後に手控えられていた投資の再開、毀損した生産設備の復旧などから7-9月期に前期比1.1%と4四半期ぶりの増加となった。10-12月期以降も引き続き復旧投資が押し上げ要因となるものの、海外経済の減速に伴い輸出の回復ペースが大きく鈍化しているため、設備投資の伸びは当面は緩やかなものにとどまることが予想される。
一方、薄型テレビの反動減を主因として8月(前月比▲3.6%)、9月(同▲2.5%)と大きく落ち込んでいた消費財出荷指数は前月比3.8%の高い伸びとなった。ただし、10-12月期を通してみれば7-9月期の前期比13.9%から大幅に減速することは避けられない。GDP統計の個人消費は7-9月期には前期比1.0%の高い伸びとなったが、10-12月期は伸びが大きく低下する公算が大きく、減少に転じる可能性もあるだろう。
(2011年11月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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