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賦課方式の公的年金では給付財源は現役世代の保険料である。保険料を拠出して親世代を扶養したことにより、子供の世代から扶養してもらうことができる。では、年金受給者が死去した場合に、それまでに受給した年金を相続できるのか。
本当の親子なら親を扶養した子供が、親が残した財産を相続するのは当然である。しかし、年金財源である保険料を他人の子(社会)が負担している場合には、自分の子ではなく、他人の子(社会)つまり年金制度に返すあるいは相続させるという考えも成り立ちうる。そこで受給者が(夫婦の二人ともが)死去した際にある程度の遺産があれば、それまで受給した年金額の何割かを、世代間の連帯相続税として徴収し、年金会計に返還してはどうか。
年金がミーンズテスト(資産調査)なしに支給されるのは、救貧ではなく防貧を目的としているからである。しかし、年金額以上の財産が残ったのなら、年金なしで暮らせたつまり防貧のニーズがなかったことになる。現在、年間死亡者数は100万を超えている。もしもこの相続税収が一件平均100万円ならその税収は1兆円、500万円なら5兆円にのぼる。受給した年金を子供に相続させる代わりに連帯相続税を通じて年金会計に返還し、少しでも将来世代の負担を軽減するという選択肢は乱暴な発想だろうか。
(2010年10月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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