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1.
本稿の目的は、日本のこれまでにおける政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)の歴史を概観し、現状における問題点を確認することにある。同時に本稿は基礎研所報次号に掲載予定の論文と前後編を成すものであり、次号では本稿において提起された各個別課題に対し、可能なかぎり具体的な解決策を提示する予定である。
2.
わが国ODAの歴史的展開
(1)【1940年代後半~1950年代】 今日我々が念頭に置いている形での国際開発援助のあり方は、ブレトン・ウッズ体制の成立に端を発する。平和条約締結後の日本では輸出振興と賠償が対外経済活動の中心となった。
(2)【1960年代~1970 年代初頭】 東西対立が始まり、米国は西側陣営に「負担分担」を求める。日本では1950年代の戦後賠償を引き継ぐ形で、円借款が1960年代の対外援助を牽引した。
(3)【1971~1980年代】ブレトン・ウッズ体制の崩壊。東西対立に加え、南北対立の発生。オイルマネー流動性過剰による第三世界の累積債務発生。日本の貿易黒字の急増と還元のためのODA増大。
(4)【1990年代~現在】冷戦の終結。自陣営つなぎ止めのための援助必要性の喪失。日本の援助戦略にも自主性が求められる時代となった。
3.
わが国ODAの今日的課題
前節における論述を踏まえ、本節において列挙された以下の各課題につき、次号所報において解決のための具体的処方を提案する。
(1) 確たる外交政策に基づく援助戦略をいかに打ち立てるか
(2) 「経済偏重」のあり方をどう捉えるか
(3) 「グローバライゼーション」にいかに対応するか
(4) NGO活動をどう考えるか
(5) 真に効果的な援助評価をいかに実施するか
(6) 対中国援助をどうするか
(7) 援助関連人材の育成と適性配分をいかに行なうか
(8) 「貧困」問題をどう捉えるか
(9) 「日本的なるもの」をいかに説得力をもって相手に分からせるか
(2001年12月25日「ニッセイ基礎研所報」)
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米澤 慶一
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