2015年04月01日

【アジア新興経済レビュー】資源安による輸出入の減少とインフレ率の低下傾向が継続

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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  1. (実体経済)
    生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、タイは製造業の在庫積み増しを受けて1年11ヵ月ぶりのプラスに転じ、マレーシアは主力の電気・電子製品や原油を中心に好調を維持するなど、総じて堅調な推移が見られる。輸出・輸入の伸び率(前年同月比)は、資源価格の下落を受けて輸出入ともに減少傾向が続いている。
  2. (インフレ率)
    2月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、資源価格の下落を背景に低下傾向が続いており、インドネシア・インドを除く国・地域で3ヵ月平均・6ヵ月平均を下回った。インドは前年同月比5.4%と、野菜・豆類を中心に前月から上昇した。また、インドネシアは前年同月比6.3%と、1月のガソリンの大幅値下げが全体に波及して前月から低下した。
  3. (金融政策)
    3月は、全ての国・地域で金融政策会合が開かれた。韓国・タイでは低インフレと景気鈍化、インドでは政府の財政健全化姿勢やインフレ懸念の後退が材料視され、それぞれ政策金利が0.25%引き下げられた。その他の会合では、政策金利は据え置かれた。
  4. (3月の注目ニュース)
      -インドネシア:政府が経常赤字削減策を公表(17日)
      -韓国     :政府が10兆ウォンの追加の景気刺激策を公表(20日)
      -タイ      :首相が戒厳令の解除を示唆(31日)
      -フィリピン  :バンサモロ基本法案の成立を先送り
  5. (4月の主要指標)
    4月は、韓国(23日)と台湾(30日)で2015年1-3月期のGDPが公表される。輸出主導経済の韓国と台湾は、先進国経済の回復の遅れや中国経済の鈍化を受けて輸出に下押し圧力が働く一方、インフレ率や金利の低下は進んでおり、内需の回復がどこまで経済を下支えられるかに注目したい。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

(2015年04月01日「経済・金融フラッシュ」)

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