2015年01月16日

貯蓄不足に転じた家計と大幅な貯蓄超過が続く企業

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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  1. 2013年度の家計貯蓄率は▲1.3%となり、1955年度以降で初のマイナスとなった。家計の貯蓄額は1994年度の36.1兆円から2013年度には▲3.7兆円と約20年間で40兆円近く減少した。
  2. 家計貯蓄減少の主因は所得の低迷である。2013年度の家計の可処分所得は雇用者報酬の低迷、超低金利の長期化に伴う財産所得の減少などから1997年度よりも20兆円以上低い水準となっている。
  3. 家計の所得が低迷する一方、企業の所得は増加傾向が続いている。本業で上げた利益に当たる営業余剰はリーマン・ショック前の水準に達していないが、利払い負担の軽減や対外資産からの利子、配当の増加によって財産所得が大きく改善している。
  4. 企業は潤沢な貯蓄を有しているにもかかわらず設備投資の抑制を続けているため、貯蓄投資バランスが高水準の黒字を続けている。企業に滞留する余剰資金を家計に還流させることにより、所得の増加を伴った個人消費の回復を実現することが重要であり、このことは日本経済全体の成長力を高めることにもつながるだろう。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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