2021年10月05日

引き続き、退職給付原資の拡充が必要

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2020年度は新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、経済社会活動の制限が余儀なくされたが、主要国政府や中央銀行の大規模な政策措置もあり、内外の株式市場は大幅に上昇した。こうした中、年金資産の増加を背景に、DB導入企業の積立比率は大幅に改善した。

実際、日本の会計基準を適用して連結財務諸表を開示するDB導入企業(1,072社)を対象に、積立型制度(DBなどの企業年金制度、および、退職給付信託が設定される退職一時金制度)の積立比率を計算すると、2020年度は104%となり、2019度の94.0%から10ポイント上昇したことが確認される。

しかし、非積立制度も含めた積立比率は2019年度の74%から上昇したとは言え82%に留まっている。定義上、非積立制度を含めた積立比率が100%を下回るのは当然のことではあるが、退職給付原資の更なる拡充によって得られる効果は小さくないだろう。

社会経済活動の正常化への道筋が必ずしも明確とは言えず、市場環境が急変する可能性は低いとは言い切れない。こうした中、退職給付信託を含む運用の改善や余裕資金を活用した退職給付信託の設定など、従業員の安心に繋がる取り組みが期待される。
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(2021年10月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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