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2025年03月03日
    ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2023年結果-
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1―はじめに
                                            ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社を巡る状況については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(2)―公的医療保険の保険者との競争環境下にある民間医療保険及び民間医療保険会社の状況」(2016.4.4)の中で、その現状と国全体の医療保険制度の中での位置付け等の全体像について、2014年ベースの数値に基づいて、報告した。その後、毎年の保険年金フォーカスにおいて、直近の状況について報告してきた。昨年は「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2022年結果-」(2024.3.5)及び「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2022年結果-」(2023.3.11)において、2022年ベースの数値に基づいて報告した。
今回と次回のレポートは、基本的にはこれらのレポートを2023年ベースに更新したものである1,2。まずは、今回のレポートでは、民間医療保険の普及状況について報告する。 
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2023」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重している。
            今回と次回のレポートは、基本的にはこれらのレポートを2023年ベースに更新したものである1,2。まずは、今回のレポートでは、民間医療保険の普及状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2023」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重している。
2―民間医療保険の普及状況(1)-被保険者数-
                                            この章では、民間医療保険の普及状況のうちの被保険者数の状況について報告する。
                                    
            
                                                                        公的医療保険と民間医療保険の間の移動状況については、以下の図表の通りとなっている。
・2011年までは、民間医療保険への流入超過であったが、公的医療保険の加入要件等の制度変更の影響もあり、2012年からは公的医療保険への流出が上回っていた。
・ただし、2015年までの3年間に高い水準で流出していたのに比べると、2016年及び2017年の流出数はそれぞれ1.5千人及び3.7千人で、大きく減少していた。
・2018年はさらに民間医療保険への流入が増加し、7年ぶりに流入が流出を若干上回った。2019年には、民間医療保険への流入がさらに13.2千人増加して146.9千人となり、流出を17.4千人上回った。2020年には、民間医療保険への流入は145.0千人で、流出を20.2千人上回った。2021年には、民間医療保険への流入は引き続き146.5千人と高水準で、流出を23.3千人上回った。2022年には、民間医療保険への流入が146.5千人と前年と同水準ながら引き続き高水準であったのに対して、公的医療保険への流出が対前年減少したことから、純増は30.1千人となった。
・これに対して、2023年においては、民間医療保険への流入が166.3千人と前年に比べて大きく増加したのに対して、公的医療保険への流出が前年並みであったことから、純増は49.6千人となり、この5年間において、純増を着実に増加させてきている。
            ・2011年までは、民間医療保険への流入超過であったが、公的医療保険の加入要件等の制度変更の影響もあり、2012年からは公的医療保険への流出が上回っていた。
・ただし、2015年までの3年間に高い水準で流出していたのに比べると、2016年及び2017年の流出数はそれぞれ1.5千人及び3.7千人で、大きく減少していた。
・2018年はさらに民間医療保険への流入が増加し、7年ぶりに流入が流出を若干上回った。2019年には、民間医療保険への流入がさらに13.2千人増加して146.9千人となり、流出を17.4千人上回った。2020年には、民間医療保険への流入は145.0千人で、流出を20.2千人上回った。2021年には、民間医療保険への流入は引き続き146.5千人と高水準で、流出を23.3千人上回った。2022年には、民間医療保険への流入が146.5千人と前年と同水準ながら引き続き高水準であったのに対して、公的医療保険への流出が対前年減少したことから、純増は30.1千人となった。
・これに対して、2023年においては、民間医療保険への流入が166.3千人と前年に比べて大きく増加したのに対して、公的医療保険への流出が前年並みであったことから、純増は49.6千人となり、この5年間において、純増を着実に増加させてきている。
3 公務員やその配偶者、子ども等は、医療給付等に対して、連邦政府や地域や地方当局からの財政的な支援が行われる。
                                            (2) 介護保険
介護保険の被保険者数は2023年において約917万人で、完全医療保険に比べて約47万人多い。これは、ドイツポスト(Deutsche Post AG)やドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)の職員が含まれてくることによる影響が大きい。
            介護保険の被保険者数は2023年において約917万人で、完全医療保険に比べて約47万人多い。これは、ドイツポスト(Deutsche Post AG)やドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)の職員が含まれてくることによる影響が大きい。
4 1人の被保険者が複数の契約に加入している場合、複数カウントされる。
                                                                        3|基本タリフ1
2009年1月から、(代替医療保険を提供する)民間医療保険会社は、公的医療保険の給付サービスに相当する「基本タリフ(Basistarif)」5を提供しなければならなくなった。基本タリフは、民間医療保険連盟が保険監督法に基づいて設計している業界共通の統一料率商品であり、(1)加入時の年齢別に保険料が決定されるが、健康状態は加味されない、(2)保険料水準は公的医療保険の平均最高保険料を上回ってはならない、等の制約がある。
この基本タリフの2023年末の合計加入者数は34,800人であり、前年末に比べて700人増加しているが、2009年の設立当初から、大幅に増加している状況にはない。
なお、1994年に導入された「標準タリフ(Standardtarif)」の合計加入者数については、2023年末において52,800人で、前年末に比べて200人の減少となっている。
            2009年1月から、(代替医療保険を提供する)民間医療保険会社は、公的医療保険の給付サービスに相当する「基本タリフ(Basistarif)」5を提供しなければならなくなった。基本タリフは、民間医療保険連盟が保険監督法に基づいて設計している業界共通の統一料率商品であり、(1)加入時の年齢別に保険料が決定されるが、健康状態は加味されない、(2)保険料水準は公的医療保険の平均最高保険料を上回ってはならない、等の制約がある。
この基本タリフの2023年末の合計加入者数は34,800人であり、前年末に比べて700人増加しているが、2009年の設立当初から、大幅に増加している状況にはない。
なお、1994年に導入された「標準タリフ(Standardtarif)」の合計加入者数については、2023年末において52,800人で、前年末に比べて200人の減少となっている。
5 国民皆保険を実現するための第1段階の措置として、2007年7月からは、「標準タリフ(Standardtarif)」の提供が義務付けられていたが、第2段階の措置として「基本タリフ(Basistarif)」が導入されることになった。
(2025年03月03日「保険・年金フォーカス」)
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