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2017年10月13日
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1.貸出動向: 都銀を中心に2ヵ月連続で大きく鈍化
次に、為替変動等の影響を調整した実勢である「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を見ると、直近判明分である8月の伸び率は前年比3.07%と7月(3.22%)から低下している。7月から8月にかけてのドル円レートの円安幅(前年比)は小動きであったため、見た目(特殊要因調整前)の銀行貸出の伸び率低下(7月3.42%→8月3.24%)に沿った動きとなった。昨年後半以降、見た目の伸び率上昇に作用してきた円安による押し上げ効果も一服している。
9月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、9月におけるドル円レートの前年比での円安幅は8.5%と8月から横ばいであった(図表4)。円安は外貨建て貸出の円換算額を押し上げることで見た目の伸び率を押し上げるが、8月から9月にかけての円安による押し上げ幅はほぼ変わらなかったことになる。従って、9月の特殊要因調整後の伸び率は、見た目の伸び率の低下幅(0.25%)と同程度低下したと考えられ、前年比2.8%程度になったと推測される。
9月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、9月におけるドル円レートの前年比での円安幅は8.5%と8月から横ばいであった(図表4)。円安は外貨建て貸出の円換算額を押し上げることで見た目の伸び率を押し上げるが、8月から9月にかけての円安による押し上げ幅はほぼ変わらなかったことになる。従って、9月の特殊要因調整後の伸び率は、見た目の伸び率の低下幅(0.25%)と同程度低下したと考えられ、前年比2.8%程度になったと推測される。
2.マネタリーベース: 増加ペースが再び鈍化へ
一方、9月末のマネタリーベース残高は、前月末から5.5兆円増加の475兆円となり、引き続き過去最高を更新した。

今後についても、引き続き日銀の大量国債買入れによって市中に残存する国債残高が減少に向かうため、日銀の国債買入れペースはさらに縮小に向かうとみられ、マネタリーベースの増加ペースも緩やかに鈍化していくと考えられる。
(2017年10月13日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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