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- 貿易統計15年11月~原油価格下落の影響で貿易収支(季節調整値)は黒字化の公算
2015年12月17日
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1.季節調整値の貿易赤字が大きく縮小
財務省が12月17日に公表した貿易統計によると、15年11月の貿易収支は▲3,797億円と2ヵ月ぶりの赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲4,800億円、当社予想は▲4,932億円)を若干下回った。輸出は前年比▲3.3%(10月:同▲2.2%)と減少幅が拡大したが、輸入の減少幅が10月の前年比▲13.4%から同▲10.2%へと縮小したため、貿易収支は前年に比べ5,191億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲3.1%(10月:同▲4.6%)、輸出価格が前年比▲0.3%(10月:同2.5%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比1.6%(10月:同▲3.8%)、輸入価格が前年比▲11.7%(10月:同▲10.0%)であった。
季節調整済の貿易収支は▲33億円の赤字となり、10月の▲1,730億円から赤字幅が大きく縮小した。輸出が前月比0.5%(10月:同0.4%)と2ヵ月連続で増加する一方、輸入が前月比▲2.2%(10月:同▲1.2%)と4ヵ月連続で減少した。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲3.1%(10月:同▲4.6%)、輸出価格が前年比▲0.3%(10月:同2.5%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比1.6%(10月:同▲3.8%)、輸入価格が前年比▲11.7%(10月:同▲10.0%)であった。
季節調整済の貿易収支は▲33億円の赤字となり、10月の▲1,730億円から赤字幅が大きく縮小した。輸出が前月比0.5%(10月:同0.4%)と2ヵ月連続で増加する一方、輸入が前月比▲2.2%(10月:同▲1.2%)と4ヵ月連続で減少した。
2.輸出数量は緩やかな持ち直し
11月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲8.1%(10月:同▲5.8%)、EU向けが前年比9.3%(10月:同3.3%)、アジア向けが前年比▲3.8%(10月:同▲2.4%)となった。季節調整値(当研究所による試算値)では、米国向けが前月比▲3.6%(10月:同0.2%)、EU向けが前月比▲1.8%(10月:同5.8%)、アジア向けが前月比▲2.7%(10月:同2.3%)、全体では前月比1.9%(10月:同1.4%)となった。
11月は主要3地域向けの輸出数量がいずれも前月比で低下したが、10、11月の平均を7-9月期と比べると米国向けが▲1.6%低い水準にある一方、EU向けが3.6%、アジア向けが1.1%高い水準にある。米国経済は堅調だが、エネルギー関連投資の弱さを反映し、資本財・部品関連の輸出が大きく落ち込んでいる。一方、欧州経済の回復ペースは緩やかだが、自動車輸出(数量)の急増(10月:前年比30.3%、11月:同46.1%)がEU向けの輸出を大きく押し上げている。輸出数量全体(季節調整値)では10、11月の平均が7-9月期を1.3%上回っており、緩やかに持ち直していると判断される。
3.原油価格の大幅下落に伴い貿易収支(季節調整値)は黒字へ
11月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=47.5ドル(当研究所による試算値)となり、10月の47.9ドルから低下した。ドバイ原油は12月に入り30ドル台まで下落しており、通関ベースの原油価格は12月に40ドル台前半、16年1月に30ドル台まで低下することが見込まれる。原油価格下落に伴う輸入価格の大幅低下を主因として貿易収支(季節調整値)は12月以降黒字化する可能性が高い。ただし、当研究所では、原油価格が徐々に持ち直すことを想定しており、海外生産シフト等の構造要因もあって先行きの輸出の回復ペースは緩やかにとどまると予想している。このため、現時点では貿易収支が一時的に黒字化してもそれが定着する可能性は低いと考えている。
(2015年12月17日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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