- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計14年7月~米国向け自動車輸出の落ち込みが続く
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
・貿易赤字は市場予想を大きく上回る
・米国向け自動車輸出の減少が続く
■要旨
財務省が8月20日に公表した貿易統計によると、14年7月の貿易収支は▲9,640億円の赤字となり、赤字幅は市場予想(QUICK集計:▲7,050億円、当社予想は▲7,472億円)を大きく上回った。ただし、輸出が前年比3.9%(6月:同▲1.9%)と2ヵ月ぶりの増加となる一方、輸入が前年比2.3%(6月:同8.4%)と伸びが大きく鈍化したため、前年に比べた貿易収支は小幅ながら2ヵ月ぶりに改善した。
季節調整済の貿易収支は▲10,238億円の赤字となり、6月の▲10,678億円とほぼ変わらなかった。輸出(6月:前月比2.2%→7月:同1.5%)、輸入(6月:前月比5.0%→7月:同0.6%)ともに2ヵ月連続で増加した。季節調整済の貿易赤字は13年度後半の▲1兆円台から消費税率引き上げ後の内需の落ち込みを主因とした輸入の減少から4月、5月は▲8,000億円台まで縮小したが、6月、7月は内需の持ち直しに伴い輸入が増加したため、赤字幅が再び▲1兆円台まで拡大した。先行きについては輸出入とも緩やかな増加が見込まれることから、貿易赤字は一進一退の推移が続く可能性が高い。
7月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲1.0%(6月:同▲1.8%)、EU向けが前年比3.6%(6月:同4.5%)、アジア向けが前年比0.6%(6月:同▲5.4%)となった。
輸出は一進一退が続いているが、特に目立つのが米国向けの自動車輸出の落ち込みだ。自動車輸出は全体では前年比で増加となったが、米国向けは5月が前年比▲23.6%、6月が同▲7.7%、7月が同▲13.4%(台数ベース)と大幅な減少を続けている。米国内の自動車販売は好調に推移しているが、日本企業は現地生産の拡大によって対応しているため、日本からの輸出につながっていない。
7月の輸入数量指数(季節調整値)は前月比▲0.8%(6月:同3.8%)となったが、7月の水準は4-6月期よりも1.2%高い。駆け込み需要の反動一巡に伴う国内需要の持ち直しを反映し輸入は回復基調に戻りつつある。
14年4-6月期のGDP統計では輸出が前期比▲0.4%の減少となったが、駆け込み需要の反動を主因とした内需の落ち込みを反映し、輸入が前期比▲5.6%の大幅減少となったことから、外需寄与度が前期比1.1%と成長率を大きく押し上げた。7-9月期は輸出が持ち直しに向かうものの、国内需要の回復に伴い輸入も増加に転じることから、外需のプラス幅は大きく縮小することが見込まれる。
(2014年08月20日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/21 | 消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/19 | 貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年03月21日
サステナビリティに関する意識と消費者行動2024(2)-消費者はなぜ動かない?エシカル消費の意識・行動ギャップを生み出す構造的要因 -
2025年03月21日
消費者物価(全国25年2月)-コアCPI上昇率は当面3%前後で推移する見通し -
2025年03月21日
米FOMC(25年3月)-市場予想通り、政策金利を2会合連続で据え置き。4月から量的引締めのペースを緩和 -
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易統計14年7月~米国向け自動車輸出の落ち込みが続く】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計14年7月~米国向け自動車輸出の落ち込みが続くのレポート Topへ