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 - サプライチェーンのCSRリスクに疎い日本企業-今後、日本企業の海外調達が世界のNGOの“標的”となる!?
 
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■目次
はじめに
1――高まる海外サプライチェーンのCSRリスク
  1│ CSR取組の中で最も遅れているサプライチェーン・マネジメント
  2│日本企業が海外で経験したサプライチェーンのCSRリスクの実例
2――日本企業におけるサプライチェーンのCSRリスク対応の先進事例
  1│ サプライチェーンの範囲の確認
  2│ サプライチェーンのCSRリスクに取り組みだした日本企業
3――CSR調達・CSR監査にかかわるガバナンス体制の必要性
■要約
- 前回(本年9月)のレポート(その1)では、グローバル化を背景に日本企業の海外の現地法人とサプライチェーンにおけるCSRリスクの増大、その中で海外では通用しない“日本型CSR”の限界を述べた。
 - 本稿では、海外のサプライチェーンでCSRリスクが顕在化した日本企業の実例を紹介し、CSRリスク対応の先進事例をまとめる。最後に、「CSR調達・CSR監査」にかかわるガバナンス体制の必要性を述べる
 - CSR取組の中で最も遅れているのがサプライチェーン・マネジメントであり、中でもサプライヤーに対するCSR監査や支援である。品質・安全や情報セキュリティ、また環境の取組は進んでいるが、人権・労働問題についてはあまり認識がない。
 - 最近、日本企業の海外の現地法人やサプライチェーンにかかわるCSRリスクが実際に顕在化した事例が増えている。途上国を中心に人権侵害、労働組合、労働条件や雇用・賃金問題が多く、日本企業がほとんどリスクと考えてこなかった問題である。
 - 事態解決に向けてレピュテーション(世論)を活用する海外NGOは、日本企業をターゲットにしだしたとも言われている。資本関係や契約関係の有無にかかわらず、最も効果的な最終発注元(最終ブランド企業)に対するキャンペーンを行うことが多い。
 - 日本企業でもサプライチェーンのCSRリスクに積極的に対応し始めたところが出てきた。
・戦略:品質確保と安定調達が主眼なるも、アジアで高まるCSRリスク(特に人権・労働、環境)の認識
・体制:コーポレートのCSR部門と資材調達部門が連携しつつ役割分担
・展開:国内のグループ企業や一次調達先から海外のグループ会社や調達先へ拡大
・監査:自己チェックシートで現状把握し改善要請の共存共栄路線、リスク高ければ現地CSR監査 - 持続可能なサプライチェーンは企業の戦略的資産である。CSR調達・CSR監査にかかわる全社的なガバナンス構築に関する方向性は以下のとおりである。
・CSR戦略の策定とコミットメント
・ガバナンス体制(CSRリスクの発見プロセス)
・CSR(リスク)の企業文化の醸成
・ステークホルダーとのコミュニケーション
・ガバナンス・プロセスの定期的評価と報告 - サプライチェーンのCSRリスク対応を、実際どこまでどのように行うのかという運用課題がある。事業や商品の重要度、リスク度合いや費用対効果から戦略的に優先順位を決定することになろう。
 
(2014年02月07日「基礎研マンスリー」)
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