2013年04月18日

貿易統計13年3月~1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・大幅な貿易赤字が続く
・輸出数量は持ち直すも、貿易赤字の縮小は夏頃の公算
・1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに

■introduction

財務省が4月18日に公表した貿易統計によると、13年3月の貿易収支は▲3,624億円と9ヵ月連続の赤字となったが、赤字幅は事前の市場予想(QUICK集計:▲4,869億円、当社予想は▲4,983億円)よりは小さかった。輸出が前年比1.1%(2月:同▲2.9%)と2ヵ月ぶりの増加となる一方、輸入の伸びが2月の前年比11.9%から同5.5%へと低下したため、前年に比べた貿易収支の悪化幅は前月よりも縮小した。
季節調整済の貿易収支は▲9,220億円となり、2月の▲10,925億円から赤字幅が縮小したが、2月は中国の春節の影響で輸出が押し下げられ赤字が膨らんでいたことを考慮すれば、貿易赤字が実態として縮小し始めたとは判断されない。季節調整済の貿易赤字の水準は13年2月、12年9月に次ぐ過去3番目の高さとなっている。
1-3月期の輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)で見ると、米国向けが前期比2.3%(10-12月期:同▲5.0%)、EU向けが前期比▲2.8%(10-12月期:同▲5.9%)、アジア向けが前期比0.2%(10-12月期:同▲1.3%)、全体では前期比▲0.9%(10-12月期:同▲2.5%)となった。景気後退が続くEU向けは6四半期連続の減少となったが、米国向けが米国経済の堅調を反映し3四半期ぶりに増加に転じ、アジア向けも新興国経済の回復を背景に小幅ながら4四半期ぶりの増加となった。ただし、中国向け輸出は日中関係悪化の影響が長引いていることもあり、自動車を中心に大幅な減少が続いている。
1-3月期の輸出数量指数は全体では4四半期連続の減少となったが、マイナス幅は10-12月期から縮小しており、月次ベースでは3月は前月比1.5%と7ヵ月ぶりの増加となった。円安による輸出数量の改善効果が顕在化し始めたとみることができるだろう。ただし、現時点では輸入価格の上昇が輸出価格の上昇を上回る交易条件悪化の影響が大きく、貿易赤字が基調として縮小するまでには至っていない。数量面の改善が金額ベースの貿易収支の改善につながるのは夏頃になることが見込まれる。
3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果を踏まえて、1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比2%台後半の増加、輸入が1%台前半の増加となることが見込まれる。この結果、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%と4四半期ぶりのプラスとなることが予想される。

(2013年04月18日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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