2012年02月14日

2012・2013年度経済見通し~貿易赤字定着と経常収支赤字転落の可能性を探る

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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<実質成長率:2011年度▲0.5%、2012年度1.7%、2013年度1.4%を予想>

  1. 2011年10-12月期の実質GDPは、前期比▲0.6%(年率▲2.3%)のマイナス成長となった。円高、海外経済の減速などから輸出が大きく落ち込んだことがマイナス成長の主因である。日本経済は輸出の低迷を主因として足踏み状態となったが、国内需要は底堅さを維持しており、景気が後退局面入りすることは避けられるだろう。
  2. 2012年度は復興需要を中心とした国内需要の増加が外需の低迷をカバーする形で回復を続ける。2013年度は海外経済の持ち直しを背景に輸出が回復する一方、復興需要の一巡から国内需要の伸びは低下するだろう。実質GDP成長率は2011年度が▲0.5%、2012年度が1.7%、2013年度が1.4%と予想する。
  3. 2011年の貿易収支が31年ぶりに赤字となったことで、貿易赤字がこのまま定着するというだけでなく、高水準を維持してきた経常収支も近いうちに赤字に転落するという見方も浮上している。
  4. しかし、2011年の貿易赤字は、東日本大震災や国際商品市況の急上昇といった一時的な要因による部分も大きく、日本が構造的に貿易赤字国になったと考えるのは早計である。また、所得収支は多額の対外純資産を背景に当面は高水準の黒字を維持する可能性が高いため、経常収支が早期に赤字に転落するリスクは低いだろう。



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(2012年02月14日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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