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コラム
2008年01月23日
1.サービス産業動向調査の概要
日経流通新聞(2008年1月14日)によると、総務省統計局は金融・保険業と電力・ガスなど公益業を除く、国内サービス産業の全業種を対象とする統計調査に乗り出すとのことである。その概要は次のとおりである。
調査の名称は「サービス産業動向調査」とし、2008年7月から売上高と従業員数について調査を始め、2009年12月から月次データを公表する。調査対象は全国の約39000の事業所であり、日本標準産業分類の大分類、中分類、小分類にわけて算出する。ちなみに、中分類をみると、通信業、インターネット付随サービス業、鉄道業、不動産賃貸業・管理業、娯楽業、医療業、広告業、専門サービス業など33業種で構成されている。
調査方法については、10人以上の事業所は郵送で、10人未満の事業所は調査員が訪問して調査する。なお、大企業などはネット調査も導入する。対象事業所は2年間継続して調べ、毎年1月に半分ずつ入れ替える。産業構造の変化などで新業種が生まれた場合は事業所統計調査や経済センサスなどの送付名簿更新に合わせて追加する。
調査の名称は「サービス産業動向調査」とし、2008年7月から売上高と従業員数について調査を始め、2009年12月から月次データを公表する。調査対象は全国の約39000の事業所であり、日本標準産業分類の大分類、中分類、小分類にわけて算出する。ちなみに、中分類をみると、通信業、インターネット付随サービス業、鉄道業、不動産賃貸業・管理業、娯楽業、医療業、広告業、専門サービス業など33業種で構成されている。
調査方法については、10人以上の事業所は郵送で、10人未満の事業所は調査員が訪問して調査する。なお、大企業などはネット調査も導入する。対象事業所は2年間継続して調べ、毎年1月に半分ずつ入れ替える。産業構造の変化などで新業種が生まれた場合は事業所統計調査や経済センサスなどの送付名簿更新に合わせて追加する。
2.サービス産業動向調査の意義
サービス産業動向調査開始の意義は、サービス経済化の中でウェイトが高まっているにもかかわらず、十分な調査が行われてこなかったサービス業の実態が明らかになることである。現在でも、サービス業に関する網羅的な調査として総務省の「サービス業基本調査」が実施されているが、調査頻度が5年に1度であり速報性に欠けている。また、経済産業省の「特定サービス産業動態調査」は毎月公表されているものの、調査対象が物品賃貸業、情報サービス業、広告業、クレジットカード業、パチンコホール、外国語会話教室、フィットネスクラブ、学習塾といった一部のサービス業に限られていた。
「サービス産業動向調査」はサービス業全般をカバーしつつ、毎月公表が行われるという速報性も兼ね備えており、非常に魅力的な調査になると思われる。調査対象となるサービス業がGDPの40%以上を占める中で、速報性がありかつ網羅的なサービス業調査が開始されることは、GDP統計の精度を高めることになると考えられる。
「サービス産業動向調査」はサービス業全般をカバーしつつ、毎月公表が行われるという速報性も兼ね備えており、非常に魅力的な調査になると思われる。調査対象となるサービス業がGDPの40%以上を占める中で、速報性がありかつ網羅的なサービス業調査が開始されることは、GDP統計の精度を高めることになると考えられる。
3.新サービスの捕捉が課題
サービス産業の大きな特徴は、既存の業種分類には当てはまらない新たなサービス業が次々と生まれてくることである。このため、産業中分類では、「その他の生活関連サービス業」「その他の事業サービス業」「その他のサービス業」といった業種分類が設けられている。既存の範疇に入らない新サービス業を迅速に捕捉して調査対象に加え、実態を把握できるかどうかが、「サービス産業動向調査」の統計の精度を決定する大きな要因になると考えられる。
わが国のサービス産業の生産性の低いことが喧伝されているが、その要因の一つには新サービスを的確に把握し、評価できていない面も大きいと思われる。サービス業の生産性計測の精度を高める上でも、「サービス産業動向調査」がサービス業の実態を的確に把握した調査となることを期待したい。
わが国のサービス産業の生産性の低いことが喧伝されているが、その要因の一つには新サービスを的確に把握し、評価できていない面も大きいと思われる。サービス業の生産性計測の精度を高める上でも、「サービス産業動向調査」がサービス業の実態を的確に把握した調査となることを期待したい。
(2008年01月23日「エコノミストの眼」)
小本 恵照
小本 恵照のレポート
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