1997年11月01日

緩む「株式持合い」と年金基金

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最近の企業不祥事を契機に、「日本の企業経営システムの特徴である株式持ち合い(経営権の安定)のマイナス効果」とか、「メインバンク資本主義の動揺」との指摘がある。
確かに、経営権安定が、業績向上や株価上昇という形で株主の利益につながらないと、株式持ち合いの合理的な理由を株主に説明できないが、最近の株価低迷は、企業の株式保有リスクを顕在化させている。
したがって、株式持ち合いは、経営権の安定とバランスを取りながら、徐々に緩和していくだろう。そして、需給悪化による株価下落懸念に対し、年金基金や投資信託などの機関投資家に、受け皿を期待する向きが多い。
しかし、プルーデントな運用を心掛けている米国の年金基金は、リターンの低い銘柄の売却や、業績改善のためガバナンス活動を行っている。要は、投資魅力(リスク見合いのリターン)がない株式は、市場に見放される運命にあるのだろう。

(1997年11月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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