2009年05月13日

4月マネー関連:銀行貸出の伸びに一服感

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志

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■見出し

・貸出動向: 伸びは前月比横ばい
・主要銀行貸出動向アンケート調査: 貸し手から見た資金需要の伸びは大幅鈍化
・マネタリーベース: 日銀の大規模資金供給を反映し、当座預金残高は引き続き大幅な伸び
・マネーストック: リスク回避の動きが続く

■introduction

貸出・資金吸収動向等によると、4月の銀行総貸出(平残)の伸び率は前月と同じく前年比3.6%となった。2008年12月をピークに伸びは一服してきている。CP・社債市場の機能が回復する中、景気悪化に伴う設備資金需要の低迷が影響してきている。
ただし、大企業向けと中小企業向けでとりわけリーマンショック以降の伸び率に大きな乖離が存在している点には注意が必要だ。構図としては、大企業は中長期的に当座比率が低下していたため、リーマンショック後に社債・CP市場の混乱もあって手元流動性危機に陥り、急速に借入需要が拡大、貸出が増加した。一方、中小企業は90年代末の金融危機における貸し渋りを受け、以降に手元流動性を積み上げてきたため、当初は手元資金で対応。その後不況の長期化に伴って借入需要が生じたが、金融市場では社債でのスプレッド格差拡大に見られるように信用力による選別が厳しくなっており、政府の緊急保証制度による信用補完を積極活用しつつ辛うじて借り換えを行ってきた状況がうかがわれる。(図表1~4)

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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

経歴
  • ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
    ・ 2007年 日本経済研究センター派遣
    ・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
    ・ 2009年 ニッセイ基礎研究所

    ・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)

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