2016年04月08日

マイナス金利政策は、なぜこれほど評判が悪いのか?~金融市場の動き(4月号)

経済研究部 シニアエコノミスト   上野 剛志

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■要旨
  1. (政策) 日銀のマイナス金利政策に対する市場や世論の評判は芳しくない。その理由を考えてみると、まずは「副作用への警戒感が強い」ことが挙げられる。そして、その発端は市場金利の動きにある。マイナス金利政策は、従来の緩和策以上に金利を押し下げ、10年国債利回りまでもマイナス圏に沈んだ。この結果、銀行やその他金融機関等への悪影響が強く意識された。さらに、家計を中心に、銀行収益が悪化することで、将来、銀行預金が(実質的な)マイナス金利になるのではないか?という懸念が強まったうえ、一部家計では「なけなしの利息収入すら無くなった」ことでマインドが悪化したとみられる。そして、2つ目の理由は「わかりにくい」ことだ。仕組みが難しいうえ、前例が限られ歴史も浅いため、影響などの不透明感も強いにもかかわらず、日銀の当初の説明は十分だったとは言い難い。さらに、黒田総裁は直前まで同政策の導入に否定的な見解を繰り返していただけに、突然「効果があるので採用」と言われても、整合性に欠ける。最後となる3つ目の理由は、今回のマイナス金利では、「市場においてプラス効果が顕在化しなかった」ことだ。世界的に先行き不安が高まり、ドル安圧力も強まった時期であったため、円安・株高を促すのはハードルが高かったわけだが、効果が出なかったがために、副作用に視線が集中してしまった面がある。日銀が今後マイナス金利を拡大するためには、その効果と副作用を検証して、「効果が出ていること」、「副作用は限定的であること」を丁寧に説明し、同政策への評価を改善させる必要がある。日銀によるコミュニケーションの重要性はいつになく高まっている
     
  2. (市場の動きと予想) 3月のドル円は小動き、ユーロドルは大きく上昇、長期金利はほぼ横ばいとなった。当面、米利上げ観測が盛り上がりにくいため、為替では少なくともドルの上値が重く、ドル安リスクの高い状況が続きそうだ。長期金利は一進一退と予想。
黒田緩和後のドル円レート(2ヵ月間の騰落率)/黒田緩和後の日経平均株価(2ヵ月間の騰落率)
■目次

1.政策:マイナス金利政策は、なぜこれほど評判が悪いのか?
  ・市場金利のマイナス化で副作用への懸念が台頭
  ・政策の分かりにくさが効果を削ぎ、不安を高めた
  ・市場でプラス効果が出なかったことも影響
  ・今後はコミュニケーションが重要に
2.日銀金融政策(3月): 景気認識など色々と下方修正
  ・(日銀)維持
3.金融市場(3月)の動きと当面の予想
  ・10年国債利回り
  ・ドル円レート
  ・ユーロドルレート
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経済研究部   シニアエコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融、日本経済

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