- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- ドル円110円維持の条件~マーケット・カルテ4月号
2016年03月22日
3月中旬、米FOMCにおいて今後の利上げに慎重な姿勢が示されたことで、円高ドル安が進行した。また、日銀の追加緩和観測は存続しているものの、マイナス金利導入後に円安がもたらされなかったことなどから、市場における「日銀追加緩和=円安」という連想が弱まっており、ドル安圧力に抗えなかった面もある。
こうした中、今後の最大の焦点は「6月の米利上げ」となる。3月FOMCを経て、市場の利上げ観測は後退したが、今後堅調な米景気を背景に次回議長会見のある6月の利上げが織り込まれていくことで、ドル高圧力が生まれるだろう。日銀の追加緩和観測も多少は円安に働くと考えられ、今後3ヵ月の方向性は円安ドル高と予想する。ただし、米利上げは同時に人民元安や原油安を誘発し、リスク回避の円買いを再び活発化させる懸念もあるだけに、ドル円の上値はかなり限定されそうだ。一方で、もし「6月利上げは困難」との見方が市場で広がれば、ドル円レートは110円を維持できなくなるだろう。
ユーロ円では、今月に入ってECBのマイナス金利打ち止め観測の拡大からユーロの買い戻しが入り、円安ユーロ高方向への水準調整が起きた。日本とユーロ圏の景気や金融政策には大差がなく、今後3ヵ月間もユーロ円の方向感は出にくそうだ。今後、日銀の早期追加緩和観測が多少円安に働くとしても、6月下旬に国民投票を控えた英国のEU離脱への警戒がポンドとともにユーロの売り圧力を高めるため、相殺されてしまうだろう。
長期金利は、0.0%~-0.1%付近で方向感を欠く展開が続いている。今後も下限を試しに行く動きが想定されるが、(債券価格の)高値警戒感や米長期金利の持ち直しもあって、一方的にマイナス幅を広げていく展開にはならないと見ている。
こうした中、今後の最大の焦点は「6月の米利上げ」となる。3月FOMCを経て、市場の利上げ観測は後退したが、今後堅調な米景気を背景に次回議長会見のある6月の利上げが織り込まれていくことで、ドル高圧力が生まれるだろう。日銀の追加緩和観測も多少は円安に働くと考えられ、今後3ヵ月の方向性は円安ドル高と予想する。ただし、米利上げは同時に人民元安や原油安を誘発し、リスク回避の円買いを再び活発化させる懸念もあるだけに、ドル円の上値はかなり限定されそうだ。一方で、もし「6月利上げは困難」との見方が市場で広がれば、ドル円レートは110円を維持できなくなるだろう。
ユーロ円では、今月に入ってECBのマイナス金利打ち止め観測の拡大からユーロの買い戻しが入り、円安ユーロ高方向への水準調整が起きた。日本とユーロ圏の景気や金融政策には大差がなく、今後3ヵ月間もユーロ円の方向感は出にくそうだ。今後、日銀の早期追加緩和観測が多少円安に働くとしても、6月下旬に国民投票を控えた英国のEU離脱への警戒がポンドとともにユーロの売り圧力を高めるため、相殺されてしまうだろう。
長期金利は、0.0%~-0.1%付近で方向感を欠く展開が続いている。今後も下限を試しに行く動きが想定されるが、(債券価格の)高値警戒感や米長期金利の持ち直しもあって、一方的にマイナス幅を広げていく展開にはならないと見ている。
(執筆時点:2016/3/22)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
(2016年03月22日「基礎研マンスリー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
今週のレポート・コラムまとめ【4/23-4/26発行分】 -
2024年04月26日
ドイツの産業空洞化リスク-グローバル化逆回転はドイツへの逆風、日本への追い風か?- -
2024年04月26日
米GDP(24年1-3月期)-前期比年率+1.6%と前期から低下、市場予想の+2.5%も大幅に下回る -
2024年04月26日
滞留するふるさと納税 -
2024年04月26日
EUのDMA関連調査開始決定-GAFAそれぞれの問題を指摘
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【ドル円110円維持の条件~マーケット・カルテ4月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドル円110円維持の条件~マーケット・カルテ4月号のレポート Topへ