秋が深まり澄んだ空気の中で、ジョギングでもやってみようか、と思い立つ方も多いのではないだろうか。近年のマラソンブームで、老若男女を問わずランナーを目にするようになった。「山ガール」による登山ブームは落ち着いてきたようだが、スポーツクライミング
1が2020年の東京五輪の種目に追加されたことで、ジムでボルダリングを楽しむ人も増えていると聞く。活動量計や脈拍計測機能などを搭載したスマートウォッチも人気だ。健康関連市場は活気づいているようだ。
食にこだわる消費者も増えている。最近では、ごく普通のスーパーでも、特定保健用食品や低糖・低カロリー商品だけでなく、自然食品やオーガニック食品を扱うところが増えたようだ。食の安全志向が高まっていることもあり、無農薬や有機野菜の宅配サービスも人気だ。
これまで健康や美容というと、中高年の健康増進や女性のアンチエイジングという印象が強かった。しかし、最近では、むしろ若者が目立つ状況もある。アンチエイジング先進国の米国では、健康志向の高まりを牽引するのは1980~2000年代初頭生まれのミレニアル世代だそうだ
2。インターネットの普及と共に育ち、健康に関する知識が豊富なため、他世代より健康志向が高いという。日本でも同様の状況が予想される。
本稿
3では、消費者全体で健康志向や美容志向が高まる中で、改めて統計データを用いて、日本人の健康や栄養、運動習慣の変化を見ていきたい。
1 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会HPによると、スポーツクライミングはリード・ボルダリング・スピードの3つの複合種目として実施。リードはロープで安全が確保された状態で12m超の壁に設定されたコースを登り制限時間内の到達度を、ボルダリングは高さ5m以下の壁に設定された複数のコースを制限時間内にいくつ登れたかを、スピードは高さ15mの壁に設定された予めホールドの配置が周知されたルートを登るタイムを競う。
2 今泉潤子「健康志向が高まる米国で事業強化を進める食品メーカー」、三井住友銀行、マンスリー・レビュー(2015年5月号)
3 本稿は一般社団法人日本ショッピングセンター
2――太りゆく男性とやせゆく女性、「美魔女」「美容男子」の存在も