(需給判断:内外需給は悪化)
大企業製造業の国内製商品・サービス需給判断D.I.(需要超過-供給超過)は前回比3ポイント低下、非製造業では2ポイント低下した。個人消費の低迷が響いたとみられる。製造業の海外での製商品需給も前回から2ポイント低下。新興国の景気減速が影響したとみられる。
先行きについては、国内需給は製造業で横ばい、非製造業で1ポイント上昇、製造業の海外需給は2ポイントの上昇が見込まれている。いずれも小動きに留まり、需給の大幅な改善は見込まれていない。
中小企業では、国内需給は製造業で2ポイント低下、非製造業では1ポイントの上昇となった。製造業の海外需給は1ポイント低下している。先行きについては、国内需給は製造業・非製造業ともに悪化する一方、海外需給は小幅に改善しているが、大企業同様、大幅な改善は見込まれていない(図表4)。
(価格判断:販売価格が低下、マージンはやや改善)
大企業製造業の販売価格判断D.I. (上昇-下落)は前回から4ポイント低下、非製造業では5ポイント低下し、マイナス圏となった。過去の円安を価格に転嫁する動きが一巡したうえ、資源安や個人消費低迷を受けて価格引下げの動きも出ているようだ。一方、仕入価格判断D.I. (上昇-下落)は製造業で6ポイント低下、非製造業でも5ポイント低下しており、原油などの資源価格の下落と円高によって仕入コストが低下した状況がうかがわれる。製造業では、販売価格D.I.の低下幅を仕入価格D.I.の低下幅が上回ったため、両者の差し引きであるマージン(利鞘)は前回から拡大している(非製造業のマージンは前回から横ばい)。
販売価格判断D.I.の3ヵ月後の先行きについては、製造業では2ポイント、非製造業では1ポイントの上昇が見込まれているが、今回の低下分を取り戻してはいない。年明け以降の円高進行による輸入物価の下落、内需の低迷を背景に、企業は今後の価格引き上げについて慎重に見ているようだ。一方、仕入価格判断D.I.は製造業で7ポイント上昇、非製造業で5ポイントの上昇が見込まれている。ともに販売価格D.I.の上昇幅を仕入価格D.I.の上昇幅が上回っているため、マージンは縮小に向かうことが見込まれている(図表5)。
中小企業の販売価格判断D.I.は製造業、非製造業ともに前回から2ポイント低下となった。一方で、仕入価格判断D.I.はともに7ポイントと大きく低下したため、差し引きであるマージンは、それぞれ拡大している。
先行きについては、販売価格D.I.が製造業で2ポイント低下する一方、非製造業では1ポイント上昇しているが、仕入価格判断D.I.は製造業で5ポイント、非製造業で8ポイントとそれぞれ大きく上昇しており、マージンの縮小が見込まれている。