保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
三原 岳(みはら たかし)
研究領域:
研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論
4――30年前に始まったモデル事業の概要
・家庭医に関する懇談会というものの報告が昭和六十二年にできまして、それを受けてモデル事業をやろうとした経緯がございます。そのときに日本医師会側からの御意見が出ましたのは、医師の裁量や患者の主治医の選定に関しまして一定の制約を課し、診療報酬の支払い方式を変更していこうとしておるものではないかというような御意見が出たりしまして、そういう反発があったというふうに私どもは聞いております。
・今回のかかりつけ医推進モデル事業につきましては、先ほども先生が御指摘になりましたように、日本医師会を初めとする医療関係団体の方からも、これを何とか推進していこう、そして患者と医師との間の信頼関係というのを確立しよう、こういうようなお話もございます。
・厚生省は1985年度の予算案概算要求で、「家庭医制度創設準備費」を盛り込んだが、日医は非常に敏感に反応した。「家庭医」という言葉が色々な面で、刺激的だったためだ。
・1983年4~5月に雑誌『健康保険』に掲載された「医療保険政策の構想」という論文では、診療所の報酬を出来高払いではなく、定額払いにする考えが提唱されていた。これは当時、保険局長だった吉村仁事務次官の発言と重複していた。
・そこで、日医としては、定額払いを厚生省が家庭医に絡めて来ると警戒しており、発表を「来るものが来た」と捉えた。つまり、医師を家庭医として認定することで、認定権の掌握を通じた支配と、定額払いによる医療費削減を狙っているのでは。この認識の下、反対運動を展開した。
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
研究領域:
研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論
プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数