(3)大阪・関西万博の経済波及効果への期待
2025 年4月から開催予定の大阪万博による経済効果への期待は大きく、ビジネス拡大の機会と捉える企業は多い。
大阪府・大阪市万博推進局「令和6年度大阪・関西万博機運醸成事業アンケート調査・分析」によれば、「万博の内容について、興味や関心があるもの、実際に会場まで見に行きたいと思うもの」について、「空飛ぶクルマ・無人運行船・自動運転車などの次世代型モビリティ(29%)」との回答が最も多く、次いで、「海外参加国・国際機関のパビリオン(27%)」、「民間企業のパビリオン(20%)」「人と共存するロボットやアンドロイドなどの技術(20%)」との回答が上位であった。万博には、最先端技術・知見の提供が期待されている。
また、大阪府・大阪市万博推進局の調査によれば、大阪・関西万博への来場意向は全体で34.9%(前年比+1.1ppt)、大阪府では39.6%(同+2.7ppt)と前年調査から増加しており、開催を間近に控えて、来場意向は緩やかに高まっているようだ。
大阪観光局によれば、2024年に大阪府を訪れた訪日外国人客は約1,464万人に達し、コロナ禍前の2019年(約1,231万人)を上回り、過去最高を更新した。万博に伴う国内外の観光客増加による関西経済の活性化を期待する声も大きい。
経済産業省は2024年3月に万博の経済波及効果を約2.9兆円と発表し
7、これを受けて、大阪市は2024年4月に大阪府域への経済波及効果を約1.6兆円と試
8しており、オフィス需要に対してもプラスの効果が期待される。
一方、万博をめぐる課題として、費用の増加や会場建設の遅れ等が指摘されている
9。会場建設費は1,250億円(2019年12月)から2,350億円(2023年12月)に、運営費は809億(2019年12月)から1,160億円(2024年2月)に増加した。また、海外参加国のパビリオン建設について、自前で建設する47か国のうち、建設工事が完了した国は、2025年3月上旬時点で8か国にとどまる
10。
想定よりも、工期に遅れが生じる、あるいは来場者が大幅に下回る場合、上記の経済波及効果が未達となる懸念もあり、今後の動向を注視したい。
7 経済産業省「大阪・関西万博経済波及効果再試算結果について」(2024年3月)
8 大阪府・大阪市万博推進局「第10 回 2025 年大阪・関西万博推進本部会議」(2024年4月12日)
9 三浦夏乃『⼤阪・関⻄万博の概要と課題』国立国会図書館、調査と情報 -Issue brief-、2024年8月6日
10 共同通信「万博・海外館、建設完了は2割弱 開幕まで間に合うか懸念」」(2025年3月12日)