2022~2024年度経済見通し(23年2月)

2023年02月15日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
<実質成長率:2022年度1.3%、2023年度1.0%、2024年度1.6%を予想>
 
  1. 2022年10-12月期の実質GDPは前期比年率0.6%と2四半期ぶりのプラス成長となったが、7-9月期の落ち込み(前期比年率▲1.0%)を取り戻すには至らなかった。
     
  2. 2023年1-3月期は海外経済の減速を背景に輸出が減少に転じることから、年率ゼロ%台の低成長となるだろう。米国、ユーロ圏のマイナス成長は小幅にとどまり、ゼロコロナ政策終了を受けて中国経済が持ち直すことから、日本は景気後退が回避されることをメインシナリオとしているが、景気の回復力は脆弱で下振れリスクが残る。
     
  3. 実質GDP成長率は2022年度が1.3%、2023年度が1.0%、2024年度が1.6%と予想する。輸出が景気の牽引役となることは期待できないが、高水準の家計貯蓄や企業収益を背景に民間消費、設備投資が増加し、内需中心の成長が続くだろう。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2023年2月には政府の物価高対策の影響で足もとの4%台から3%程度へと低下するが、電気料金の値上げが予定されている4月以降は、エネルギー価格が再び上昇する。原油高や円安の一服で原材料コストを価格転嫁する動きは弱まる一方、賃上げ率の高まりを受けてサービス価格の上昇ペースが徐々に高まるだろう。消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2022年度が3.0%、2023年度が2.3%、2024年度が1.1%と予想する。

 
■目次

1. 2022年10-12月期は前期比年率0.6%のプラス成長
  ・景気動向指数の基調判断が下方修正
  ・家計貯蓄率はコロナ禍前の水準に近づく
  ・春闘賃上げ率は26年ぶりの高水準へ
2. 実質成長率は2022年度1.3%、2023年度1.0%、2024年度1.6%を予想
  ・物価高が貯蓄の減少要因に
  ・実質GDPが直近のピークを超えるのは2024年度
  ・経常収支の見通し
  ・物価の見通し

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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