2|独占契約は競争促進的な利益をもたらさない
原告は一般検索サービス市場における反競争的効果について疎明を行ったため、立証責任はGoogleに移り、Googleは、競争促進的な正当性を提示しなければならない。
Googleは、この点、i)一般検索サービス市場における利用者体験、品質、アウトプットを向上させる。ii)関連市場における競争を刺激し、検索市場に利益をもたらす。iii)関連市場において消費者に利益をもたらす、と主張した。裁判所はこれらの主張は不十分と判断する。
(1) Googleは、ブラウザ契約、すなわちsafariとFirefoxにデフォルトの一般検索エンジンとして排他的に設置することについて、ブラウザの検索機能がそのまま効果的に機能することを可能にするものであり、ユーザーの利便性を確保するものと主張する。しかしここでは独占契約が競争促進的利益を生じさせることを正当化しなければならず、独占的なデフォルト搭載が競争促進的利益を持つとは示していない。また、Googleは、デフォルトの地位を獲得するために品質を向上させる動機づけになると主張する。しかし裁判所の結論は一般検索エンジンとしての競争は既に存在せず、品質向上の動機づけとなったとする証拠はない。Googleは、配信契約において収益分配を行っている点について、新しい競合社が市場に参入することを買うことを通じて、参入を促進することができるというが、これは市場の現実とは相いれない。新規参入者が市場に参入できたという証拠はなく、ましてやデフォルト獲得のために前金を支払ったという事実もない。
Googleは、独占契約によって検索アウトプットが増加したと主張するが、デフォルトの排他性がアウトプット増大の原因になったという証拠はない。
(2) 他の市場への利益の提供 Googleは、収益分配金の支払によって、より優れたブラウザ、スマートフォンの改良と低価格化、AppleとAndroidの競争激化が促進され、これらすべてが検索アウトプットを増加させることで一般検索サービス市場の利益につながると主張する。しかし、たとえばAppleはsafariを改良するために収益分配を支払うべきことを要求していない。またデフォルトの排他性が検索アウトプットの増加につながったとの見解は示されていない。
Googleは、Apple端末とAndroid端末との競争、Android端末間の競争を促進したとしている。しかし、この主張はAndroid端末メーカーや通信業者が分配された収益をGoogleが主張するような方法で利用しているという証拠が乏しい点で不十分である。
(3) 市場横断的なメリット Googleはその販売契約が関連市場そのものについて競争促進的な利益を生み出し、検索市場における排除効果を正当化すると主張している。この理論自体、適用すべきかについて議論があるが、独占契約が競争促進的な利益をもたらしたとする証拠がないため、検討する必要がない。
以上、Googleは有効な競争促進的利益が独占的デフォルト配布の必要性を説明することを立証する責任を果たしていない。従って、裁判所はブラウザ開発者、Android OEMおよび通信事業者との独占販売契約を通じて、一般検索サービス市場における独占を違法に維持しているとして、シャーマン法第2条に基づく責任を負うと判断した。
10――法律の結論