2020~2022年度経済見通し(20年11月)

2020年11月17日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
<実質成長率:2020年度▲5.2%、2021年度3.4%、2022年度1.7%を予想>
 
  1. 2020年7-9月期の実質GDPは、緊急事態宣言の解除に伴う民間消費の大幅増加などから前期比年率21.4%の大幅プラス成長となったが、過去最大のマイナス成長となった4-6月期の落ち込みの6割弱を取り戻したにすぎない。経済活動の正常化は遅れている。
     
  2. 消費は全体としては持ち直しているが、外食、宿泊、娯楽などの対面型サービス消費は緊急事態宣言下で極めて低い水準まで落ち込んだ後、その後の戻りも弱い。
     
  3. 10-12月期以降も潜在成長率を明確に上回る成長が続くことが予想されるが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言が再発令されるようなことがあれば、経済成長率は再びマイナスとなり、景気の失速は不可避となるだろう。
     
  4. 実質GDP成長率は2020年度が▲5.2%、2021年度が3.4%、2022年度が1.7%と予想する。ソーシャルディスタンスの確保が、引き続き対面型サービス消費を抑制することなどから、経済活動の水準が元に戻るまでには時間がかかる。実質GDPの水準がコロナ前(2019年10-12月期)を回復するのは2022年7-9月期、消費税率引き上げ前の直近のピーク(2019年7-9月期)に戻るのは2023年度となるだろう。
■目次

1. 2020年7-9月期は前期比年率21.4%の大幅プラス成長
  ・大打撃を受けた対面型サービス業
  ・厳しい状況が続く雇用情勢
2. 実質成長率は2020年度▲5.2%、2021年度3.4%、2022年度1.7%を予想
  ・実質GDPが直近のピークを超えるのは2023年度
  ・雇用者報酬は8年ぶりに減少
  ・企業収益はリーマン・ショック並みの減少幅に
  ・物価の見通し

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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