2017年婚姻届における初婚男女の年齢組み合わせランキング(2)-なぜ結婚希望が叶わないのか-10・20代男性編/妻の年齢ゾーン別分布状況

2019年12月09日

(天野 馨南子) 子ども・子育て支援

はじめに

前回のコラムでは、「2017年に婚姻届を出し、結婚生活を開始した」36万件の初婚同士のカップルについて、男女の年齢の組み合わせの多い順にランキング形式で紹介した。

多様化が進みつつある時代・晩婚の時代といっても、成婚カップルの組み合わせで見た発生確率的には、男女とも一定の期間に婚期が集中していることを紹介した。
 
今回は、読者がより身近に活用できるように、成婚者の年齢別に相手の年齢の発生確率を示してみたい。
【10代後半~20代の相手年齢の分布状況 - 男性編】
 
最初に、男性が結婚可能となるのは法律上18歳からであるので、18歳~19歳の男性の状況を見てみることとする。
 
対象となる成婚が4403件あったが、そのうちの4組に3組(3294件)は10代後半の妻との結婚となった。2番目に多いのは1028件の20代前半の女性との年上妻婚となっている(図表1)。

この両者の合計で98%となるので、10代後半の男性の結婚は、
 
(1) 10代後半の女性:20代前半の女性 がほぼ 3:1
(2) 年上の妻が4組に1組発生
 
ということが出来る。
次に、20代前半の男性の結婚であるが、最も多かった組み合わせは同じ20代前半女性との成婚3万3914件であり、7割を占めた(図表2)。同じ年齢ゾーンであるので、男女どちらが年上の可能性もあり、このデータではその中身は示していない。
2番目に多いのは、明らかに年上の20代後半女性との結婚の9073件で、全体の2割を占める。10代後半女性との結婚も3091件で6.5%発生している。
 
以上から、20代前半の男性の結婚は、
 
(3) 20代前半妻が7割で、20代妻との結婚は9割にのぼる
(4) 自分の年齢ゾーンより年上の妻が5組に1組発生
 
ということが出来る。
 
最後に、20代後半男性の妻の年齢をみてみると、やはり同じ20代後半の女性が7割を占める(図表3)。
2番目に多いのが明らかに年下の20代前半女性との結婚で、6件に1件程度発生している。また30代前半の明らかに年上女性との結婚も1割超となっている。
 
20代後半の男性の結婚は、平均初婚年齢の組み合わせイメージから30代前半男性と20代後半女性カップルが多数派かのような世間のイメージがあるものの、当シリーズ(1)でみたように30代前半男性を成婚数で圧倒1しており、その相手となる女性は
 
(5) 20代妻との結婚は9割、うち20代後半妻が7割
(6) 自分の年齢ゾーンより年上の妻が10組に1組以上で発生
 
となっている。
 
1 36万件のうち、20代後半男性の成婚14.0万件、30代前半の成婚9.2万件で1.5倍

20代男性の結婚は、20代妻が87%・30代妻が10%

理想はさておき現実的な成婚を分析すると、20代男性の結婚は、2017年の20代男性の結婚18万7千件のうち87%を占めた20代女性をターゲットとすることがもっとも成功しやすい、ということができる。
 
ただ、図表2・図表3から、20代女性ならば何歳でも成功しやすいというわけではなく、同じ5歳年齢ゾーンの女性であることが確率を大きく引き上げることが示されている。
 
結婚相談所や支援団体において、男性からの人気が非常に高い20代女性ではあるが、
 
男性本人が20代であり
マッチングしたい女性と年齢が近い
 
ことが、20代女性とのマッチングにおける競争力において圧倒的な強みを見せることが示されているデータであるともいえる。

またデータからは、20代女性との結婚を望むならば、男性も同じ20代のうちに結婚を決める覚悟が必要である、ということも出来るだろう。
 
次回は30代男性について同様に、発生状況の分析結果を紹介したい。

生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子(あまの かなこ)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

経歴

プロフィール
1995年:日本生命保険相互会社 入社
1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向


【委員歴/ご依頼順(現職優先)】

1.政府
・【総務省統計局】
「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
・【こども家庭庁】
「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」構成員(2024~2025年度)
「令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員」(2023年度)
・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】
「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
・【内閣府男女共同参画局】
「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
・【内閣府】
「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~2018年)
「地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)

2.自治体
・【富山県】
「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
「富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員」(2022年)
・【高知県】
「元気な未来創造戦略推進委員会 委員」(2024年度~)
「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年度)
・【三重県】
「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年度~)
・【愛知県豊田市】
「豊田市総合計画推進会議 有識者委員」(2025年度~)
・【石川県】
「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
・【長野県伊那市】
「伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般」(2020年~2021年)
・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】
「子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー」(2021年)
・【愛媛県松山市】
「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会・結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)

3.民間団体
・【東京商工会議所】
東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
・【愛媛県法人会連合会】
えひめ結婚支援センターアドバイザー委員(2016年度~)
・【公益財団法人東北活性化研究センター】
「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)
・【中外製薬株式会社】
「ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会(通称:研究倫理委員会) 委員」(2020年~)
・【主宰研究会】
地方女性活性化研究会(2020年~)


日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
日本労務学会 会員
日本性差医学・医療学会 会員
日本保険学会 会員
性差医療情報ネットワーク 会員
JADPメンタル心理カウンセラー
JADP上級心理カウンセラー

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