選択と責任──消費社会の二重構造(1)-欲望について考える(2)

2025年10月17日

(廣瀬 涼) 消費者行動

■要旨

私たちは「消費」という言葉を、どこか特別な行為のように捉えがちだ。しかし、実際には朝のパン一枚から夜眠るベッドに至るまで、生活のすべては消費の連続である。お金を使う瞬間だけでなく、過去に買ったものを使い続けること、無料のサービスを利用すること、広告を視聴することさえも、広い意味での消費行動に含まれる。私たちは日々、モノやサービスだけでなく、情報や体験、文化までもを「摂取」しながら生きているのだ。そう考えると、「人は消費したものでできている」といえるのではないだろうか。何を買い、何を選び、何を拒むのか――その一つひとつの選択が、私たちという存在を形づくっている。そして、私たちが無意識に選んでいるその行為こそが、社会や環境、そして未来にまで影響を及ぼす「責任ある行動」でもある。本稿では、そんな日常に溶け込んだ消費という行為に焦点を当て、「なぜ私たちはそれを選ぶのか」「選ぶとはどういうことなのか」を筆者の専門である消費文化論の視点から考察していく。

■目次

1――消費とは何なのか
2――人は消費したものでできている
3――なにがあなたにそれを「選択」させたのか
4――如何にして消費者に選択してもらうか
5――選択肢が多いと人は不幸になる?

生活研究部   研究員

廣瀬 涼(ひろせ りょう)

研究領域:暮らし

研究・専門分野
消費文化論、若者マーケティング、サブカルチャー

経歴

【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
     ニッセイ基礎研究所入社

・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員

【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会

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