そこで、気候指数の作成では、奄美について、奄美単独の地域区分に加えて、九州南部と合わせた「九州南部・奄美」の地域区分も設定することとする。
5 例として、次のレポートのように気候指数と死亡率を関連付けて将来の死亡率の予測を行うことが考えられる。「気候変動:死亡率シナリオの作成-気候変動の経路に応じて日本全体の将来死亡率を予測してみると…」篠原拓也(基礎研レポート, ニッセイ基礎研究所, 2024年12月24日)
3|気象データの観測地点は気象台等とする
今回、各地域区分に複数の観測地点を設定して、そのデータをもとに地域区分の気候指数を作る。地域区分内の地点の気候指数を平均したものを、その地域区分の気候指数とする
6。
各地域区分で設定する気象データの観測地点は、原則として気象台等
7とする。気象台等では、過去からの日々の観測要素(気温、降水量、風速、湿度など)が取得できるためである
8。無人観測施設であるアメダス
9による観測地点でも、気温、降水量、風速などのデータは取得できるが、湿度や一部の項目のデータが取得できないなどの制約があることから、今回の気候指数作成のための気象データとしては用いない。なお、すでに観測を停止している地点のデータは、今後の気候変動の推移予測等への活用が難しいため、用いないこととする。
6 各地点の気候指数は、気象や潮位のデータの参照期間(1971~2000年)平均からの乖離度(平均と標準偏差を用いて算定)として計算される。そのため、各地点の平均をとることができる。
7 気象台の他に、有人の気象観測施設も含まれる。
8 一部の項目のデータが取得できない気象台等もある。その場合、その観測地点のデータは気候指数作成には用いない。
9 国内約1300か所の気象観測所で構成される気象庁の無人観測施設。アメダス(AMeDAS)は、Automated Meteorological Data Acquisition System(地域気象観測システム)の通称。
4|潮位データについては歴史的潮位資料が公表されている潮汐観測地点とする
気候指数の1つに、海面水位指数がある。これは、潮位データをもとに作成される。潮位データについては、1997年3月以前の潮位の観測値が「歴史的潮位資料」、1997年4月以降の潮位の観測値が「近年の潮位資料」として、気象庁より公表されている。ただし、歴史的潮位資料は、すべての潮汐観測地点で公表されているわけではなく、長期に渡って観測を続けている地点に限られる。一方で、過去のデータはあるものの、すでに観測を停止しているために、直近のデータがない地点も多く見られる。
そこで、各地域区分で設定する潮位データの観測地点は、歴史的潮位資料と近年の潮位資料が公表されていて、かつ、現在も観測を継続している潮汐観測地点とする。
5|観測地点は、全部で174地点 (気象データ154地点、潮位データ57地点)
以上の検討の結果、観測地点は次の表のとおりとなった。気象データとして154地点、潮位データとして57地点のデータを気象庁のホームページより取得し、これらをもとに気候指数を作成する。
このうち、気象データと潮位データを両方とも観測しているものが37地点
10。気象データのみを観測しているものが117地点。潮位データのみを観測しているものが20地点となっている。全部で、174の観測地点のデータをもとに、気候指数を作成することとなる。