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減速に拍車がかかる米労働市場-足元は堅調維持もトランプ政権の高関税政策が継続する場合に大幅な減速は不可避

2025年05月09日

(窪谷 浩) 米国経済

■要旨
 
  1. 25年4月の雇用統計では雇用者数は前月からは鈍化したものの、堅調な伸びを維持した。また、失業率も低位安定しており、トランプ政権による場当たり的な関税政策に伴う労働市場への影響が4月までは限定的である状況を確認した。
     
  2. 米労働市場は減速傾向が続いているものの、企業の人員削減の増加は主にトランプ政権による連邦政府職員削減の動きを反映しており、幅広い業種で増加している状況にはなっていない。また、足元で失業者数の大幅増加の兆候もみられない。
     
  3. もっとも、求人数の減少が続く中、不透明な関税政策を背景に企業景況感の雇用指数が悪化しているほか、企業の採用計画も下方修正する動きがみられており、労働需要の低下に拍車がかかる可能性が高まっている。
     
  4. 一方、労働供給は働き盛り(25-54歳)の労働参加率が昨年夏場をピークに低下していたが、足元で底打ちする動きもみられる。しかしながら、ここ数年労働供給の回復を主導した移民はトランプ政権の厳格な移民政策により今後減少する可能性が高い。
     
  5. 労働需給の緩和に伴い賃金上昇率が低下しているほか、転職者の賃金上昇率が非転職者を下回るなど賃金上昇圧力の緩和は続くとみられる。
     
  6. 足元で関税政策に伴う労働市場への影響は限定的だが、今後もトランプ政権による不透明な高関税政策が継続する場合には、大幅な減速は不可避だろう。

 
■目次

1.はじめに
2.米労働市場は減速継続も足元で堅調を維持
  (雇用統計)4月の雇用統計は関税政策の影響が限定的であることを確認
  (人員削減・失業保険)人員削減は連邦政府職員中心、失業者数の大幅増加の兆候はみられない
  (求人数・中小企業欠員補充)求人数の低下基調が持続、中小企業の人手不足は継続
  (企業景況感・採用計画)企業景況感の雇用指数は悪化、採用計画も下方修正の動き
  (労働参加率・移民流入)プライムエイジ労働参加率は02年以来の水準も移民減少から低下へ
  (賃金)賃金上昇圧力の緩和が継続
3.今後の見通し

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩(くぼたに ひろし)

研究領域:経済

研究・専門分野
米国経済

経歴

【職歴】
 1991年 日本生命保険相互会社入社
 1999年 NLI International Inc.(米国)
 2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
 2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
 2014年10月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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