2.SNCU(小規模で複雑でない会社)
SNCU(small and non-complex undertaking:小規模で複雑でない会社)として、一定の条件を満たす低リスクプロファイル(再)保険会社の新しいカテゴリーを導入し、より簡素化された規制が適用できるようにする。なお、キャプティブも一定の基準を満たす場合、SNCUに分類される。
SNCUを識別するための基準としては、連続する2会計年度において、全ての会社に対する以下の基準に加えて、生命保険会社や損害保険会社等の会社の種類に基づく基準を満たす必要がある。
・本国以外の加盟国からの年間総収入保険料が、2つの臨界値(①2000万ユーロ、②年間総収入保険料の10%)のいずれかを下回っている。
・(1)市場リスク、(2)カウンターパーティデフォルトリスク・モジュールのうち、スプレッドリスク・サブモジュールに含まれない証券化、デリバティブ、仲介業者からの債権及びその他の投資資産に対するエクスポージャーに対応する部分、(3)市場リスク及びカウンターパーティデフォルトリスク・モジュールに含まれない無形資産への投資に適用される自己資本要件、の合計が投資総額の20%を超えていない。
・引き受けた再保険が年間総収入保険料の50%を超えない。
・SCR要件を満たしている。
ただし、(部分)内部モデルを適用している会社等は対象外となる。
また、具体的な比例措置としては、(a)技術的準備金の計算における健全な決定論的評価の使用
17、(b)流動性リスク管理計画の免除、(c)RSRの提出頻度が少なくとも5年ごと、(d)SFCRの貸借対照表の監査免除、(e)ORSAの頻度や一定の分析の免除、(f)ガバナンスの主要機能の兼務容認、等が挙げられる。
なお、以下の「3.6|比例措置」で述べるように、EIOPAは、2024年8月2日に、ソルベンシーIIに基づく新しい比例枠組みの今後の実施に関する公開協議を開始している。
17 EIOPAが2024年10月1日に公表したソルベンシーIIレビュー後最初の技術基準に関する一連の協議の中に「生命保険債務の最良推計評価のシナリオについて」のITS案が含まれている。