3|線形確率モデルによる推計
(1) 推計方法
つづいて、家族構成や子どもの状況、収入や評価についての考え方、職場の実態、仕事と家庭との両立についての考え方と不利益や得といった感じ方等との関係をみるために、被説明変数を、「不利益だけ」「不利益も得も」「得だけ」「いずれもなし」として、それぞれについて線形確率モデルで推計を行った。説明変数は年齢、配偶関係、子の有無のほか、ワークエンゲージメント、収入や評価についての考え方、職場の実態、両立についての考え方とした。また、職業、仕事内容、本人年収、
2K6を調整した。
収入や評価についての考え方としては、「裕福な暮らしができるほど十分に稼ぎたい
3」「人並みの生活ができるぐらいに収入を得たい
3」の2つの質問を使い、「裕福な暮らしができるほど十分に稼ぎたい」にあてはまる場合を「裕福な暮らし」、「裕福な暮らしができるほど十分に稼ぎたい」にあてはまらないが「人並みの生活ができるぐらいに収入を得たい」にあてはまる場合を「人並みの生活」、いずれもあてはまらない場合を「いずれにもあてはまらない」とした。また、評価についての考え方として「能力や成果に応じて評価されるべきだ
3」にあてはまるかどうかとした。
職場の実態としては、「職場では、(正規、非正規、アルバイトなど)いろいろな立場の人が職場の一員として尊重されている
4」「職場で自分がいじめにあっている(セクハラ、パワハラを含む)
4」「休暇を取得する人がいれば、同じ職場の同僚がカバーするために負担が増しがちだ」「意欲を引き出したり、キャリアに役立つ教育が行われている
4」「仕事と育児や介護を両立するための制度があり、必要な人はおおむね利用できる
3」にあてはまるかどうかとした。「休暇を取得する人がいれば、同じ職場の同僚がカバーするために負担が増しがちだ」は、「職場で急な欠勤があったとき、同じ職場の同僚がカバーするために負担が増しがちだ
3」と「職場で計画的な長期休暇があったとき、同じ職場の同僚がカバーするために負担が増しがちだ
3」の2つの質問を使い、この2つの回答の平均とした。
両立についての考え方としては、「家族との時間を多少犠牲にせざるをえなくても、仕事で成功したい
3」「仕事をするなら、やりがいよりも家庭や日常生活との両立のしやすさを重視する
3」「男性も少なくとも数週間~数か月は育児休暇を取るべきだ
3」「女性は子どもができたら、家庭を優先するのが望ましい
3」「女性は、専業主婦として家庭に専念するより、少しでも働いているべきだ
3」にあてはまるかどうかとした。
2 心理的ストレス反応を含む精神的な問題の程度を表す指標。6つの質問の合計点が高いほど、精神的な問題が重い可能性があるとされる。
3 「あてはまる」「ややあてはあまる」「どちらとも言えない」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の5段階。また、「あてはまる」「ややあてはまる」を「あてはまる」、それ以外を「あてはまらない」と見なした。
4 「そうだ」「まあそうだ」「ややちがう」「ちがう」の4段階。