タイの生命保険市場(2023年版)

2024年09月17日

(斉藤 誠) アジア経済

■要旨

2023年のタイ生命保険市場の正味収入保険料は前年比3.2%増の6,087億バーツ(約2.6兆円)となり、2年ぶりに増加した。2023年はタイ中銀の金融引締め策により高めの金利水準が続くなかで終身保険や養老保険など普通保険の販売が順調だった。一方、世界経済の減速懸念によって投資家のリスク回避姿勢が強まり、ユニット・リンクのような投資型の保険の販売は低調だった。

2024年のタイ経済はモノの輸出が緩やかに回復するなかで年2~3%程度の成長が予想されており、また金利水準は現在のところ高めの水準で横ばいの推移となっている。生保市場は引き続き終身保険や養老保険などの普通保険を中心に販売が伸びて、収入保険料は前年並みに増加しそうだ。上半期(1~6月累計)のタイ生命保険料収入をみると、前年同期比3.8%増と順調に伸びている。また医療保険への関心の高まりや各社のデジタル化を取り入れた販売強化なども追い風となり、2年連続での市場拡大が予想される。

■目次

1―市場概況
  (国際比較)
2―保険商品別の販売動向
3―販売チャネル別の販売動向
4―会社別の販売動向
5―資産運用状況
6―収支動向
7―おわりに

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠(さいとう まこと)

研究領域:経済

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴

【職歴】
 2008年 日本生命保険相互会社入社
 2012年 ニッセイ基礎研究所へ
 2014年 アジア新興国の経済調査を担当
 2018年8月より現職

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