(3) 大型イベント開催(大阪・関西万博)の経済波及効果への期待
2025 年4月から開催予定の大阪万博による経済効果への期待は大きく、ビジネス拡大の機会と捉える企業は多い。
大阪府・大阪市万博推進局が2023年12月に行ったアンケート調査によれば、「万博の内容について、興味や関心があるもの、実際に会場まで見に行きたいと思うもの」に関して、「空飛ぶクルマ・無人運行船・自動運転車などの次世代型モビリティ(34%)」との回答が最も多く、次いで、「海外参加国・国際機関のパビリオン(26%)」、「人と共存するロボットやアンドロイドなどの技術(21%)」、「民間企業のパビリオン(21%)」との回答が上位であった(図表-17)。万博には、最先端技術・知見の提供が期待されている。
また、大阪観光局によれば、2023年に大阪府を訪れた訪日外国人客の消費総額は、9,210億円となり過去最高水準を更新した
6。万博に伴う国内外の観光客の増加による関西経済の活性化を期待する声も大きい
7。
アジア太平洋研究所の推計
8によれば、万博の経済波及効果は、2022年推計の2兆5,276 億円から2兆7,457億円へと上方修正された(図表-18)。このうち、大阪府への波及効果は2兆621億円(2022年推計:1兆8,496 億円)と試算しており、オフィス需要に対してもプラスの効果が期待されている。
一方、大阪府・大阪市万博推進局の調査によれば、大阪・関西万博への来場意向は全体で33.8%(前年比▲7.4%)、大阪府内では36.9%(同▲9.5%)、府外では27.6%(同▲3.3%)となり、前年調査から低下した
9。
また、大阪シティ信用金庫「中小企業における大阪・関西万博に関する意識調査」(2023年7月)によれば、大阪・関西万博の大阪経済活性化への期待度に関して、「期待できる」との回答した企業は62.6%となり、前回(2022年7月)調査から▲10.0%減少した。同調査では、「長引く原材料価格の上昇や人手不足等により、工期に遅れが生じるなど先行きの不透明感から期待度が低下したもの」としている。
想定よりも、来場者が大幅に下回る、あるいは工期に遅れが生じる場合、上記の経済波及効果が未達となる懸念もあり、今後の動向を注視したい。