年代別には、年齢が高いほど「慎重消費」志向が、若いほど「所有より利用」や「C2C・中古品受容」志向が高い傾向がある。また、70~74歳では「顕示的消費」志向が高い(やや20歳代も)。
属性による特徴については次節で詳しく見るが、家計への関心が高いと見られる女性やシニアでコストパフォーマンスを意識して慎重に買い物をする傾向や、モノを所有することよりもコト(サービス)消費への関心が高く、デジタルネイティブである若者でレンタルやサブスクリプションサービス、フリマアプリの利用に積極的な傾向は、日頃の印象通りであると感じる方が多いのではないだろうか。
なお、消費行動のモノ→コト・シフトは幅広い年代に広がっているようだが、特に若者でよく見られる印象がある。その理由は合理的に消費をする意識が強いためだろう。今の20・30歳代はデジタル化が進展し、成熟した消費社会で育っている。安価、あるいは無料の高品質な商品・サービスがあふれ、お金をかけなくても質の高い消費生活を送ることができる。このような中で消費に関わる価値観を形成しているため、かつてのように「高級品を持つこと=すごいこと」といった物差しではなくなっている。さらに、少子高齢化の進行で将来の負担が増し、経済不安が強まる中では、堅実に資産形成をしながら、必要な時に必要な量だけ商品・サービスを利用する方がスマートであるという考え方が主流になっているのではないだろうか。
一方、70~74歳では「顕示的消費」志向が高いが、その理由は、経済的余裕に加えて(70~74歳は全体で8.9%に対して世帯金融資産3,000万円以上で14.6%)、当調査はインターネット調査であるため、シニアの調査対象に消費行動をはじめ何事にも積極的なアクティブシニアが多い可能性もある
4。
職業別には、民間正規と公務員で「所有より利用」志向が、自営業・自由業と民間正規で「C2C・中古品受容」志向が高い。なお、職業で見られる特徴は、それぞれの職業を構成する性年代分布の影響が大きく、民間正規や公務員、自営業・自由業では男性が(男性は全体49.9%に対して民間正規73.1%、公務員68.0%、自営業・自由業70.8%)、民間正規と公務員では30・40歳代が多い(30・40歳代は全体35.7%に対して民間正規47.7%、公務員46.4%)。
世帯年収別には、800~1,000万円で「C2C・中古品受容」志向が、800万円以上で「慎重消費」志向が、1,000万円以上で「所有より利用」志向が高いほか、年収が高いほど「顕示的消費」志向が高い傾向がある。なお、世帯年収で見られる特徴も職業と同様、各層を構成する年代分布の影響があり、高収入世帯では50歳代を中心に多くなっている。また、世帯年収800~1,000万円未満では40歳代が多い(全体20.9%に対して32.0%)。
世帯金融資産別には、300~1,000万円未満で「所有より利用」志向が、3,000万円以上で「顕示的消費」志向が高いほか、金融資産が多いほど「慎重消費」志向が、少ないほど「C2C・中古品受容」志向が高い傾向がある。同様に各層を構成する年代分布の影響があり、世帯金融資産が多いほど高年齢層が多い。また、300~1,000万円未満では30・40歳代が多い(全体35.7%に対して43.2%)。
4 ただし、総務省「通信利用動向調査」によると、2022年の70~74歳のインターネット利用率は71.5%(無回答除く)、スマートフォン保有率は67.1%に達しており、アクティブシニアが著しく多いというわけでもなさそうだ。