2023年6~9月の自社株買い動向~PBR1倍割れ企業の株価はPBR1倍以上企業より大きく反応~

2023年10月30日

(森下 千鶴) 株式

■要旨

東証のPBR1倍割れ企業に対する改善策の開示要請を受けて、資本効率の改善や企業価値の向上が意識され自社株買いが増加する可能性が指摘されている。
 
しかし、実際には、2023年4~5月は自社株買いの設定が予想されたほど増えていなかった。2023年6~9月に自社株買いを設定した企業についても、設定金額や件数は例年とほぼ変わらなかった。
 
ただし、2023年6~9月に自社株買いを設定した企業のうちPBR1倍割れの株価は、PBR1倍以上の株価よりも上昇していた。
 
自社株買いの実施は、決算発表と合わせて公表されることが多いため、株価の反応は業績等の影響も大きい。とはいえ、PBR1倍割れ企業には好調な業績見通しとともに資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応策を発表している企業もあり、そのような企業の姿勢の変化が注目された可能性はありそうだ。

■目次

■自社株買いへの意欲は高い
■PBR1倍割れ企業の自社株買いが劇的に増加した傾向は見られず
■PBR1倍割れ企業の株価はPBR1倍以上より大きく反応

金融研究部   研究員

森下 千鶴(もりした ちづる)

研究領域:医療・介護・ヘルスケア

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴

【職歴】
 2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
 2015年 ニッセイ基礎研究所入社
 2020年4月より現職

【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会検定会員
 ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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