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日本酒の味を知るための情報
自分にあった日本酒を探すためには様々な情報をもとに判断する必要がある。日本酒のラベルには
A) 原材料によるもの
〇酒米
日本酒の主原料になるものである。酒造好適米とも呼ばれ、粒が大きく心白の割合が小さいという特徴がある。山田錦や美山錦などが存在する。それぞれに特徴がある。また、玄米からどれぐらいの割合まで削ったかを示す精米歩合も重要な要因になる。
〇酵母
酵母はブドウ糖をアルコールに変化させるものである。その過程での副生成物によってその成果物の味や風味に影響を与える。日本酒造協会によって開発された協会酵母や酒蔵特有の蔵つき酵母などが用いられている。
B) 製法によるもの
〇酛(もと)づくりによるもの
酵母の中では日本酒造りに必要な清酒酵母と阻害する野生酵母があり、清酒酵母だけを取り出して使う必要がある。そこで少量の原料を用いて清酒酵母を増やしたものを用いて酒造りを行う。清酒酵母を増やしたものを酛(もしくは酒母)と呼ぶ。酛を作る工程についてもいくつかの種類がある。乳酸を添加して作る速醸酛、自然の乳酸を使う生酛(きもと)、菩提酛などがある。また、生酛造りのものでは蔵の空気中にいる乳酸菌を取り入れるために、山卸(やまおろし)と呼ばれる蒸米をつぶす作業が行われている。また、この山卸を行わずに作られたものを山廃(やまはい)と呼ばれる。
〇加水の有無
日本酒はアルコール度数が高いため日本酒が出来た後に加水をし、アルコール度数や味わいを調整する。加水しないものを「原酒」と呼ぶ。
〇火入れの有無
劣化する原因となる菌を殺菌することや残っている酵素の働きを止めるために、瓶に入れる前と出荷前に加熱処理を行う。それを火入れといい。それによって酒の質を安定させることが出来る。火入れを全くしないものを生酒、瓶詰め前の火入れをしないものを生貯蔵酒、瓶詰め後の火入れをしないものを生詰め酒と呼ぶ。
〇貯蔵年数
1年以上貯蔵したものに関して、貯蔵年数を月数を切り捨て記載することが出来る。法律上の定義は存在しないが、長期熟成酒研究会では「満3年以上蔵元で熟成させた糖類添加物を除く清酒」を熟成古酒と定義している。熟成を行うことで独特の香りや風味を感じることが出来る。
C) 測定値
〇アルコール度数
日本酒のアルコール度数は15%程度が多い。また、酒税法では22%未満であることが定められている。
〇日本酒度
日本酒度は日本酒の比重を表わし、日本酒度が高くなるほど辛口で、低くなるほど甘口と呼ばれるものとなる。糖分などが含まれることで密度が高くなるため日本酒度が低いと甘口のお酒となる。
〇酸度・アミノ酸度
発酵食品である日本酒はアミノ酸や有機酸が含まれており、それを数値化したものが酸度およびアミノ酸度である。酸度が高いと濃醇な味わいに、酸度が低いと端麗な味わいとなる。
D) 特定名称酒
1990年に等級制度に代わるものとして特定名称酒が導入された。原料や精米歩合などを加味して表-1に示す8種類に分類される。