家族からみた在宅勤務-子育て世帯の3~4割では家族団らんが増えるも、1~2割で子どもが遊べるスペースが減少

2022年10月21日

(坊 美生子) 高齢化問題(全般)

■要旨

コロナ禍に入って2年半が経過し、働く人とっては在宅勤務が生活パターンとして定着した人もいるだろう。在宅勤務については、これまで仕事の生産性や労務管理などが課題に挙げられてきたが、全体としては評価するものが多い。ただし、いずれも働く人や企業側の視点で評価したものであり、働く人の家族の視点で検討したものは少ない。

本稿では、ニッセイ基礎研究所のコロナ調査を活用して、家族に対する影響を、10段階のライフステージ別に分析した。その結果、特に子育て世代においては、家族団らんの時間が増えた人が4割に上る一方で、1~2割では、子どもが自由に遊べる時間やスペースが減るなど、生活への支障も見られた。

「家」は本来、家族が生活する場所であり、仕事をする場所は、企業が労働者に対して提供することが原則である。自宅で仕事をすることに対して、労働者の家族が納得した上で、労使が合意するならメリットは大きいが、家族の意思が置き去りにされたままでは、サステイナブルな働き方とは言えない。今後も在宅勤務を推進するならば、こうした家族への影響も考慮する必要があるだろう。

■目次

1――はじめに
2――在宅勤務の利用状況
  1|在宅勤務の増加と定着
  2|テレワークを行う場所
  3|在宅勤務に対する評価
3――在宅勤務など働き方の変化によって家族が受けた影響
  1|影響を受けた割合とその内容
  2|性別にみた影響の差
  3|ライフステージ別にみた影響の差
4――家族の働き方の変化による影響と地方・郊外移住希望との関連
5――おわりに

生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子(ぼう みおこ)

研究領域:ジェロントロジー(高齢社会総合研究)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴

【職歴】
 2002年 読売新聞大阪本社入社
 2017年 ニッセイ基礎研究所入社

【委員活動】
 2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
 2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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