2022・2023年度経済見通し-22年1-3月期GDP2次速報後改定

2022年06月08日

(斎藤 太郎) 日本経済

■要旨
 
<実質成長率:2022年度2.0%、2023年度1.7%を予想>
 
  1. 2022年1-3月期の実質GDP(2次速報)は、1次速報の前期比▲0.2%(年率▲1.0%)から前期比▲0.1%(年率▲0.5%)に上方修正された。
     
  2. GDP2次速報の結果を受けて、5月に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2022年度が2.0%、2023年度が1.7%と予想する。実質成長率の見通しは5月時点と変わらない。
     
  3. 2022年4-6月期の実質GDPは、対面型サービスを中心に民間消費が高い伸びとなることから、前期比年率3.9%のプラス成長となり、実質GDPはコロナ前(2019年10-12月期)の水準を回復するだろう。
     
  4. ただし、資源価格の一段の高騰、中国経済の低迷長期化、金融引き締めに伴う米国経済の減速、電力不足による経済活動の制限など、下振れリスクは大きい。また、新型コロナウイルスの感染拡大時にこれまでと同様に行動制限の強化を繰り返せば、消費の持続的な回復は実現しないだろう。
     
  5. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2022年度が同2.2%、2023年度が同0.9%と予想する。物価高対策の影響もありエネルギー価格の伸びは頭打ちとなるが、食料品や日用品で価格転嫁の動きが広がり、2022年中は2%台の伸びが続く。しかし、原材料価格上昇の影響が一巡する2023年度にはゼロ%台後半まで伸びが鈍化するだろう。
■目次

1. 2022年1-3月期の実質GDPは前期比年率▲0.5%へ上方修正
  ・収益環境が厳しさを増す中でも、企業収益は堅調を維持
2. 実質成長率は2022年度2.0%、2023年度1.7%を予想
  ・実質GDPが直近のピークを超えるのは2023年度
  ・物価の見通し

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎(さいとう たろう)

研究領域:経済

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴

・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職

・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員

レポートについてお問い合わせ
(取材・講演依頼)