働く30代の老後不安(中国)

2021年11月12日

(片山 ゆき) 中国・アジア保険事情

■要旨

少子高齢化、人口問題の深刻さが増す中国では、老後の経済的な備えをどう確保し、生活を安定させるかが大きな課題となりつつある。老後の収入に対する不安については、一人っ子世代の30代が高い一方、家族扶養が機能している60歳以上の高齢者では相対的に低い状況にある。政府が進める社会扶養と家族扶養の両輪体制は、30代など働く若年層に大きなプレッシャーを与えている。

■目次

1――少子高齢化の急速な進展、老後の生活をどう安定させていくのか。
2――老後の収入に対して不安を感じているのは全体の26%ほど。最も不安を感じている年代は
  30代。‘安心’と考える経済的な備えの目安は73万元(1,200万円)。
3――30代でおよそ4割が老後の経済的な備えを開始。ただし、60歳以上では4人に1人は全く
  準備をしておらず、およそ半数は経済的な備えが50万元(800万円)以下の状況。手段に
  ついては貯金以外に保険や銀行の理財商品など金融商品の活用も進む。
4――希望する受給開始年齢は60歳未満が93.5%、政府が進める受給開始年齢の繰り下げは
  難航模様。

保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき(かたやま ゆき)

研究領域:保険

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

経歴

【職歴】
 2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
 (2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
 ・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
 (2019年度・2020年度・2023年度)
 ・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
 ・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
 日本保険学会、社会政策学会、他
 博士(学術)

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